ドクターに聞く! コロナ禍で迎える冬、健康のポイントは?

新型コロナウイルス感染症による自粛生活は、人々の健康にどのような影響を及ぼしたのでしょうか。

withコロナの生活が始まって初めての冬も、間もなくやってきます。

元気に過ごすために気を付けたい点などを、市川市や近隣のエリアで開業する4人のドクターに聞きました。

冬の病気

<目次>

・風邪は万病のもと

・がんはコロナを待ってくれない

・清潔・保湿で肌トラブルをケア

・口腔内の衛生状態は健康に影響する

▼以下より市川市の各駅周辺の病院(※)マップをダウンロードできます!
※ちいき新聞 2020年10月30日号 市川版・八幡版・船橋西版掲載医療機関

①市川駅周辺
市川駅周辺の病院マップ

②本八幡駅周辺
本八幡駅周辺の病院MAP

③下総中山駅周辺
下総中山駅周辺の病院マップ

公開 2020/10/28(最終更新 2020/11/13)

編集部 R

編集部 R

「ちいき新聞」編集部所属の編集。人生の大部分は千葉県在住(時々関西)。おとなしく穏やかに見られがちだが、プロ野球シーズンは黄色、Bリーグ開催中は赤に身を包み、一年中何かしらと戦い続けている。

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風邪は万病のもと

岸先生

きし内科クリニック 岸雅人先生

 

新型コロナウイルス感染症対策の好影響

春先は、やはりコロナを心配して来院を控える人もいたようですが、マスクの着用や手洗いをしっかりする人が増えたせいか、風邪で受診する人は減りました。

季節性のインフルエンザの流行も小規模でしたし、花粉症も重症化しにくかったようです。

病院でコロナに感染するのでは、と心配される方もいますが、そもそも生活の場にウイルスはたくさん紛れているもの。

むしろ病院は一般の場所以上に感染対策に気を使っているので、あまり神経質になり過ぎずに具合が悪いときは病院を受診しましょう。

 

この冬は特に風邪対策を万全に

風邪予防はインフルエンザや新型コロナウイルス感染症の予防にもなるので、今年は例年以上に風邪に気を付けてほしいです。

一番有効な予防法は手洗い。

ウイルスは粘膜から侵入するので、鼻と口を覆い、粘膜を手で触らないことが重要です。

手洗い

目も粘膜に覆われていますから触ってはだめ。

当クリニックでは目が悪くない人もだてメガネをかけるなどして全員メガネですが、これは目からのウイルス感染を防ぐためです。

ウイルスはのどに付着してから20分で体内に侵入するといわれているので、うがいの効果は限定的だと思いますが、感染防止の意識付けとしてはいいと思いますよ。

ロタウイルスやノロウイルスによるおなかの風邪もはやる時季ですね。

便をトイレに流すときに飛沫でウイルスが飛び散ることもあるので、便座のふたは閉じてから水を流した方がいいと思います。

また、少しでも高熱が出る可能性を減らすため、インフルエンザの予防注射はしておいた方がいい。

今は、原因不明の高熱が出たときに感じるストレスは相当なものでしょう。

「もしコロナだったらどうしよう」「職場にどう報告したらいいだろうか」など、余計な心配事が増えてしまいますからね。

そのためにも予防注射をしておくことをおすすめします。

 

冬を元気に過ごすために高齢者が気を付けること

巣ごもり生活による運動不足から「コロナ太り」の方が増えていますが、特に高齢者の方は足腰が弱っていないかどうかが心配です。

寒くなると歩くのがおっくうになるかもしれませんが、趣味や買い物のために外に出る習慣を付け、健康な体作りをしてもらいたいですね。

また、風邪はぜんそくや心臓病、糖尿病などの基礎疾患の悪化にもつながるので、軽視できません。

風邪予防には体が温まるしょうが湯がおすすめです。

また、一昔前は、減塩や低カロリーなど食事を制限することが高齢者の健康維持策の中心でしたが、最近は超高齢社会が進み元気な方も増えたので、健康寿命を延ばすために、必要な栄養をしっかり取ることが大事といえるでしょう。

 

一言アドバイス

風邪は万病のもととはよく言ったもの、とにかく風邪にご注意を!

きし内科クリニック

住所/市川市大和田2-13-26
       市川市川メディカルステーション内

電話 /047-314-2001

がんはコロナを待ってくれない

鈴木大輔先生

市川すずき消化器・内視鏡クリニック 鈴木大輔先生 

 

正確な診断のためには内視鏡検査を

新型コロナウイルス感染症の影響で4〜5⽉に内視鏡検査を受けていただく患者さんは少なめでした。

7⽉に外出⾃粛が解除となり、検診も再開となると同時に、内視鏡検査を受けていただく方も増えてきました。 

外出⾃粛直後はオンライン診療を利⽤する方が増えましたが、今は⽉に10人くらいの患者さんにオンライン診療を受けていただいております。 

「がんはコロナを待ってくれない」ため、検診で異常が⾒つかりましたら、内視鏡を受けていただくことをお勧めしております。

当院では、コロナ対策には細⼼の注意を払っております。

消化器系の疾患は、どれも現れる症状が似ているため問診だけで判断することは難しく、診断のためには粘膜を直接観察できる胃カメラ・大腸カメラが⽋かせません。 

正確な診断ができてこそ、適切な治療を⾏うことができると考えております。

腹痛

女性のがん、死因の1位は大腸がん

早期の胃がん・大腸がんでは、症状が全くないことの方が多いと言われております。

胃カメラ・大腸カメラ検査では、早期胃がんや大腸ポリープ、早期大腸がんを発⾒することができます。

症状がない場合でも定期的に検査を受けることをおすすめいたします。

⼥性の場合、⼤腸カメラを恥ずかしがって受けない⼈も多いのですが、⼥性のがんの死因の第1位は⼤腸がんであります。

働く世代の若い女性にこそ、大腸カメラを受けていただきたく思います。

コロナ禍で在宅勤務になったため、普段検査を受けられなかったという方にも検査を受けていただいております。

内視鏡検査

リモート忘年会での飲み過ぎに注意

これからの季節、例年だったら宴会での飲み過ぎ・⾷べ過ぎ…で胃腸のトラブルを抱える⼈が増えるのですが、今年はいかがでしょうか。 

家でのリモート飲み会は終電を気にしなくていいですから、飲み過ぎてしまう危険があるかと思います。 

嘔吐、胸焼けなどの症状は、単なる飲み過ぎ以外に逆流性食道炎、胃潰瘍、胃がんなどでも現れることがあります。

あまりひどかったり、⻑く続いたりするようでしたら、内視鏡検査を受けてみてください。

 

高齢者だけではない消化器系の病気

逆流性⾷道炎は、胃液と混ざり合った⾷べ物や胃液そのものが⾷道に逆流することで、⾷道に炎症を起こす病気です。 

胃液は強い酸性なので、⾷道にただれやびらんを引き起こし、胸やけ、喉の違和感、げっぷなどが症状として現れます。

以前は⾼齢者に多い病気と考えらえていましたが、最近では若い患者さんも増えてきています。 

若年の方ですと、「胃カメラは、”おえっ”となりやすいのでは?」と尻込みしがちですが、そのようなことはほぼありません。

鎮静薬を使用することで、ほぼ意識がないままに内視鏡検査を受けていただくことができます。

一言アドバイス

胃カメラは年に1回、⼤腸カメラは2年に1回。 

「胃がん・⼤腸がんで亡くなる方をゼロに」するために、内視鏡検査を受けましょう!

市川すずき消化器・内視鏡クリニック

住所/市川市市川南1-5-25
   グロリアコート市川1階

電話 /047-326-0033

清潔・保湿で肌トラブルをケア

荒浪先生

あらなみ皮膚科・美容皮膚科クリニック 荒浪暁彦先生

 

マスクトラブルを防ぐには?

新型コロナウイルス感染症の流行によって来院患者が減るということは特になかったです。
むしろコロナの院内感染を心配して、風邪症状でも、あえて(コロナ患者が来ないイメージの)皮膚科で診てほしいという方もいたぐらいです。

影響といえば、マスクを長時間着けることによるニキビや肌荒れを訴える患者さんは増えました。

不織布マスクは抗ウイルス効果が高い代わりにかぶれやすいので、気になる人は布マスクにするか、不織布が直接肌に当たらないようにガーゼやハンカチを挟むといいでしょう。呼吸は、普通にできます。

布マスクは通気性の良い素材のものを選び、こまめに洗濯して清潔を保つことが大切です。

ソーシャルディスタンスを保てる場所では、マスクを外すのも一手。

マスクのために、ニキビと同時にかゆい湿疹が生じている人も多いですが、かゆみ止め(ステロイド剤)を塗るとニキビが悪化してしまうことがあるので注意が必要です。

また、かゆいからといってかいてばかりいると、皮膚が黒くなってくすんでしまう(擦過黒皮症)ので気を付けてください。

マスクによる肌トラブル

冬場、皮膚をいたわるポイント

これからの時季は空気が乾燥しますから、肌の水分も不足して乾燥気味になり、かゆみが生じることがあります。

特に高齢の方ほど強く症状が出やすいので、より一層保湿に気を付ける必要があります。

保湿剤は、(保湿効果の高いものから)軟こう、クリーム、乳液、サラサラ液体など、さまざまなタイプがありますが、あまり深く考えず自身が一番気持ち良いと感じたものを使えば良いでしょう。

塗るタイミングに特に決まりはないですが、風呂上がりで肌が少しぬれている時がベストといわれています。

塗る時に強くこすると肌が黒ずみますから、そっと塗ってください。

保湿とマッサージ
▲皮膚は内臓の状態を映す鏡のようなもの

また入浴時のマッサージもおすすめ。

特に第二の心臓ともいわれるふくらはぎは入念に行うと良いでしょう。

さらに手、足の指関節部をもんでしもやけを防ぎましょう(1〜2分)。

もむ力が強くなくても血流は十分改善するので、毎日行うことが重要です。

余力があれば足裏などのツボを押さえてみるのも良いでしょう。

東洋医学では、胃腸が冷えたり弱ったりすると、皮膚病も悪化すると言われています。

そのため体が冷えやすい冬場は、胃腸に負担をかけない温かい食べ物を摂り、栄養バランスに気を付けた食生活を送ることが大切です。

 

一言アドバイス

健やかな皮膚を保つためには、体の内部から健康でいることがポイントです。

ただ、難治性のニキビや顔のアトピーなど、治療が難しい上に見た目の悩みを伴う症状には、美容医療(自己負担)を検討するのも一つの考え方です。

あらなみ皮膚科・美容皮膚科クリニック
千葉院

住所/船橋市本中山3-22-1

電話 /047-314-8707

口腔内の衛生状態は健康に影響する

伊藤先生

伊藤歯科医院 伊藤彰宏先生

 

定期的なお口のメンテナンスが健康のカギ

コロナ以降、一部の高齢の患者さんの中には、足が遠のいた人もいます。

特に、歯のクリーニングやメンテナンスなど、予防関連の受診が減りました。

実は冬、感染症がはやる季節こそ口の中のお掃除が大事なのですが。

口の中の細菌が食べものなどと一緒に肺に入って炎症を起こす誤嚥性肺炎などを防ぐためにも、歯周病を予防し、口内を清潔に保つことは重要なポイントです。

他に感じるコロナの影響としては、巣ごもり生活で間食が増えて虫歯になったり、口腔内出血が増えたりなどがありますね。

 

虫歯

冬の病気の予防につながる、お口のお手入れ

これからインフルエンザなど感染症の流行が始まる季節になりますが、口の中をきれいにすることで、インフルエンザの予防につながることが明らかにされています。

毎日の歯磨きをしっかり行い、歯科医院に定期的に通って口の中の細菌を減らすと、インフルエンザの発症も抑えられるとされています。

冬場、洗面所が寒いからといって、短い時間で歯磨きを済ませていませんか?

しっかり丁寧に磨かないと、歯のトラブルも起こりやすくなりますよ。

また、寒さのせいで来院をおっくうがって虫歯を放置していると、治療が長引き、かえって通院期間が長くなってしまうかもしれません。

元気な歯

歯の健康を保つおすすめのものは?

ガムですね。

最近は虫歯予防効果があるとされるキシリトール入りのものがほとんどなので、ガムを食べたことで虫歯が誘発されるようなことは少ないでしょう。

ガムをかめば唾液が出て、それが感染症予防につながりますし、かむ力が強くなると口輪筋が強くなって、誤飲や食べこぼしも減ります。

介護予防にも効果的ですね。

一言アドバイス

家庭内での感染症対策も大切です。

フォーク・スプーンの共有を避けるなど、子育て世代は特に気を付けましょう。

伊藤歯科医院

住所/市川市高石神32-15

電話 /047-335-0557

 

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