
【野田市】コウノトリの野生復帰がさらに前進!放鳥後、初の2世代目誕生と巣立ち
49年前に日本の空から姿を消したコウノトリ。
その復活を目指し野田市で2018年に放鳥した「ひかる」がついに父親となり、この秋2羽の子どもを大空へ飛び立たせました。
公開 2020/11/09(最終更新 2020/11/12)

人々に支えられたコウノトリの子育て
野田市でコウノトリの飼育を始めたのは2012年。
15年からすでに12羽が放鳥されましたが、結婚も子育ても「ひかる」が初めてとなります。
▲渡良瀬遊水地(写真提供:小山市役所ラムサール推進課)
▲渡良瀬遊水地第2調節池
「ひかる」が定住先に選んだのは、関東4県にまたがる日本最大級の湿地、渡良瀬遊水地。
その一角、栃木県小山市では「コウノトリ野生復帰」を目指して、冬の田んぼに水を張る有機農法でえさが育つ環境を整備。
コウノトリ用の人工巣塔設置を続けるなど、コウノトリの定住への取り組みが12年から進められていました。
「ひかる」は、18年に新設されたその5基目の巣塔を巣としました。
▲巣塔と「ひかる」(2018年5月12日)
家が決まれば、次はお嫁さん探し。
南東30キロにある故郷の野田市と小山市を行き来し、野田育ちの後輩や新しい仲間とも交流。
2年間の婚活の後、今春3月に、徳島県出身の「歌」と結婚。
5月末には、2羽のヒナが誕生しました。
▲コウノトリのヒナ2羽(左わたる、右ゆう)
そして、喜びに沸き遊水地の土手から見守る人々に、コウノトリの愛情あふれる子育てぶりを見せ、ヒナの成長を一緒に楽しませてくれました。
ただ、喜びの後には悲しい出来事も。
子どもの旅立ちを夫婦で見送った後の10月、「歌」が骨折により死亡しました。
日本の野外コウノトリ数が200羽超え
▲交代で子育てする「ひかる」と「歌」(2020年6月28日)
一夫一婦制で、飼育下では平均寿命35歳といわれるコウノトリ。
4歳の「ひかる」には、また新しい出会いもあるでしょう。
というのも、2005年から放鳥を始めた兵庫県の努力が実り、野外に生きるコウノトリの数は、今200羽を超えました。
2世も増え、3世も生まれています。
埼玉県鴻巣市でも、コウノトリ飼育施設が建設中です。
幸せを運ぶと言われるコウノトリ。
人の優しさに支えられてコウノトリが舞う空の下なら、豊かな自然の中で人も幸せに暮らせるでしょう。(取材・執筆/F)