
千葉市若葉区に話題の「缶詰カフェ」オープン!新しい形の地域コミュニティスペース「多機能型事業所ITSUMO」
2019年4月に若葉区にオープンした多機能型事業所ITSUMO。重度の知的障害がある人のための事業所ですが、施設内には、誰でも自由に遊べるキッズスペースや駄菓子屋、カフェがあり、地域の交流拠点となっています。
公開 2020/12/14(最終更新 2021/06/07)

編集部 モティ
編集/ライター。千葉市生まれ、千葉市在住。甘い物とパンと漫画が大好き。土偶を愛でてます。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。★Twitter★ https://twitter.com/NHeRl8rwLT1PRLB
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「この辺りは新興住宅地で、小さいお子さんがたくさんいるエリアなんですが、公園が近くになくて。そこで、子連れで楽しめる場所にしようと、倉庫を改装してキッズスペースやカフェを作りました」と話すのは、多機能型事業所ITSUMO代表の竹嶋信洋さん。
無垢材を使ったキッズスペースは、ガーランドや小物がセンスよく飾られ、おしゃれな雰囲気。
ゆったり座れるソファや2〜3歳児向けのボルダリング場があり、小さいながらも、つい長居してしまうと、近隣のファミリー層から評判です。
▲ゆっくりできるキッズスペース
一方で駄菓子屋は、ポン菓子やチューインガム、スーパーボールのくじ引きなど、懐かしいアイテムがズラリと並び、大人もついワクワク!
日中はキッズスペース帰りの親子連れ、夕方になるとお小遣いを握りしめた小学生でにぎわいます。販売を担当するのは、施設の利用者。おすすめ品を手渡してくれるなど、なかなかの商売上手です。
「子どもたちは、『グイグイくる兄ちゃんがいる』と言いつつ、楽しくやり取りしていますよ」と竹嶋さんはほほ笑みます。
▲楽しい雰囲気の駄菓子屋
2020年の8月には、バスの車体を利用した、新たな憩いの場が誕生しました。「実は、今年度は利用希望者が増えたため、スペースを広げる必要があったんです。当初は、敷地内に小屋を建てようと思ったのですが予算が合わず…。スタッフ同士で知恵を出し合ううちに、中古のバスを利用するアイデアが飛び出しました」と竹嶋さん。
バスの内部は、懇意にしている大工さんが、丁寧にリフォーム。建築現場で出た廃材を使ってコストをかけず、まるでログハウスのような空間に仕上げました。駄菓子屋で購入したお菓子を持ち込んでもOKとのこと。
▲バスを利用したコミュニティスペース
新たに「缶詰カフェ」も登場!
そして、2020年12月4日には、県内でもめずらしい「缶詰カフェ」もオープン!
▲内装のコンセプトは「地中海風」
全国で展開する缶詰専門店「缶詰バーmr.kanso」とのコラボで生まれたこちら。
「もともとはカフェを併設していたのですが、コロナ禍でずっとお休みしていました。再オープン、となったときに利用者さんの仕事の一つとなるような形態にできないか…と考えた際、以前代表の竹嶋さんと一緒に行った、『mr.kanso』さんのことを思い出したんです」と話すのは、ITSUMOスタッフの住谷翔太さん。
「mr.kanso」は、国内外で展開する缶詰専門のバー。オリジナル商品や地方の特色を生かした缶詰など、2000種以上の缶詰を取り扱っています。焼き鳥などの定番から、だし巻きたまごやハンバーグなど、「これが缶詰⁉」とうなりたくような一品も。
▲ドリンクと一緒に楽しめます
缶詰なら、シンプルなオペレーションで提供できる。なにより「mr.kanso」で二人が体験した、たくさんの種類から選ぶ楽しさ、そして味のおいしさは地域の人にも受け入れてもらえるはず…と考えた竹嶋さんと住谷さん。
早速、「mr.kanso」を運営するクリーン・ブラザーズ(株)に掛け合います。専務取締役の川端健史さんは、「缶詰が障害者の方の支援になるという視点に驚きましたが、私たちでお役に立てるなら、ぜひ協力したいと思い、二つ返事でOKしました」と振り返ります。
トントン拍子に話が進み、約3カ月でオープンへとこぎ着けました。
▲目移りしそうなラインナップ
壁いっぱいにズラリとならぶ缶詰は圧巻! 約200種がそろい、価格は250円の手軽なものから、2000円前後の高級品まで用意。気になる缶詰を手に取って施設の利用者がいるレジへ。温めたものを提供してくれます。
2階に設けられた飲食スペースは、靴を脱いで上がるスタイル。「ママたちは2階でくつろぎながら、キッズスペースで遊ぶお子さんたちの様子を見られる設計になっています。ねんね期やハイハイの赤ちゃん連れでもゆっくりできる、少し広めのスペースも用意しています」と住谷さん。
▲子連れでもくつろげるのがうれしい
地域の防災拠点としても活用
缶詰は日持ちするという点もメリット。災害時には非常食として地域の人に配ることも想定しているそう。
ITSUMOには、井戸水と7機の発電機が備えてあり、12組の布団や非常用のアルファ米も常備。「平常時は地域の人の交流地点として、非常時には防災拠点として機能していきたい」と考えています。
重度の障害者が地域住民と関わる機会は少ない。関わらないから、理解も浅く、先入観が生まれてしまう――。
ITSUMOでは、就業が難しいとされる重度障害者でも「働くこと」が経験できるよう、庭掃除や草取りなど地域でできる仕事も請け負っています。
「障害者や健常者といった枠にとらわれず、子どもからお年寄りまでが楽しく過ごせる場所を目指したい」と竹嶋さんは力強く語りました。
多機能型事業所ITSUMO
住所/千葉県千葉市若葉区貝塚2-2-3
電話番号/ 043-310-7970
営業時間/駄菓子屋、キッズスペースの営業時間は、9時~17時
缶詰カフェは11時~17時
定休日/土日
アクセス/JR都賀駅から徒歩15分
駐車場/あり
HP/http://itsumo-f.jp