文書作成ソフトのWordを使い、写真に細かい図形を重ね、躍動感のある独特のデザインを生み出していく市原市在住の前田さん。
マウスを動かす手段は手ではなく、口です。

公開 2021/08/13(最終更新 2021/08/14)

影が、美しさと躍動感を引き出す
前田さんは2009年、サーフィン中に事故に遭い、頸髄損傷を負いました。
意識は鮮明なのに首から下が全く動かない状態。
千葉県内の病院などを経て、さらなる自立を目指すために妻の千佳子さんの提案で入所したのが、大分県別府市にある重度障害者センター。
そこで目にしたのは、車いすの若者が口を使いパソコンを易々と操っている姿。
「衝撃でしたね。こんなことができるなんて。今の体で何ができるかを考え、体に合った環境を整えてくれる施設でした」。
その町自体が障害者を受け入れる体制を整えており、車いすでも、商業施設や飲食店に安心して出掛けることができたといいます。
同センターでパソコン操作を学び、WordとExcelの資格を取得。
Wordの図形描画機能で絵を描く方法も教わりました。
最初は、チューリップなど単純なものを描いていましたが、当時2歳だった愛娘を描きたくなりました。
写真をベースに図形を重ねて濃淡のある影をつけていくと、今にも動き出しそうな生き生きとした表情の娘が現れました。
これが、前田さんの作品が生まれたきっかけです。

障害者がアクティブになれる街を
その後、2012年のロンドンパラリンピックで活躍する選手たちに感銘を受け、パラアスリートのイラスト制作にのめり込みました。

Facebookに投稿したところ、選手本人を含め大きな反響があり、縁あって17年から3年間、エイベックス(株)と契約。
同社所属アスリートの公式イラストを担当しました。

8月18日(水)には、聖火の点火セレモニーへの参加も予定しています。(※8月14日修正)
「こんな体でもできることがたくさんあることを知ってもらいたい。バリアフリーなんて言葉がいらなくなるくらい、障害者が気軽に出掛けられるような世の中になってほしい」と明るく笑います。
前田健司氏
問い合わせ/kanon615love@yahoo.co.jp
Facebook/https://www.facebook.com/maedakenjiart
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■パラアスリートギャラリー開催中!
会場/ユニモちはら台
住所/千葉県市原市ちはら台西3-4
電話番号/ 0436-76-0001 ユニモちはら台