かつて千葉氏が居を構えた、千葉市発祥の地にある亥鼻公園。
その一角にある「お茶の水」には、歴史上の人物にまつわる複数の伝説が残されています。
公開 2021/11/13(最終更新 2021/11/10)

お茶の水を訪ねて
千葉駅から本町通りを亥鼻公園に向かうと、都川に架かる大和橋に差し掛かりました。
見上げると、台地の木々の上に天守閣の姿をした千葉市立郷土博物館が見えます。
橋を渡り左に折れると、大ケヤキの下に「お茶の水」の石碑と、升形の井戸のようなものが。
ここは公園の北の端。
かつてこの場所に湧水があったそうです。

戦国時代にこの地にあった猪鼻城を守る人には大事な水源であり、傍を通る街道を行く人馬にとっては格好の水飲み場だったことでしょう。
現在、水は枯れてしまっていますが、お茶の水と呼ばれるようになった由来として二つの伝説が残されています。
源氏と徳川が登場する伝説
一つ目は源頼朝にまつわるもの。
治承4(1180)年、相模国石橋山の合戦で敗れて安房国に渡った頼朝は、千葉常胤の本拠地に足を止め、この水でたてたお茶を振る舞われました。
二つ目は徳川家康にまつわる伝説。
慶長19(1614)年、東金方面へ鷹狩りに向かう途中で千葉に泊まり、この水でたてたお茶を飲んだというものです。
それから60年後に徳川光圀が訪れ、「東照宮(徳川家康の神号)お茶の水と伝う」と書き残しています。
興味のある人は、詳しい説明が現地の千葉市教育委員会の史跡案内看板にあるので、訪ねてみてはいかがでしょうか。(取材・執筆/江梨)
千葉市亥鼻公園
住所/千葉市中央区亥鼻1-6