2021年11月、千葉県八千代市内の「cafe hiyori」に、「土に還るスチールテーブル」が展示されました。
作者は、佐倉市を拠点に空間デザインやプロダクトデザインを手掛ける清野隆志さんです。

公開 2022/01/13(最終更新 2022/01/07)

さびが見せる美しさと循環

「回帰」をテーマにした「土に還るスチールテーブル」は、あえて酸化止めの加工をせずに、さびの発生や朽ちていくことを許容するという作品。
鉄の原料である鉄鉱石は、大気中の酸素と結び付いて、酸化鉄として地球上に存在しています。
鉄が本来の姿である鉄鉱石の状態に戻ろうとするさまを、そのまま表現しているわけです。
テーブルの天板には、特に耐久性の高いコルテンという建築用鋼材を採用。
コルテンは数年かけて重厚で美しいさびを形成していきます。
「自然の法則に従い、長い年月をかけて土へ還っていくような循環を感じてもらえたら」と清野さん。
スチールテーブルは展示の会期中にも徐々に味わい深いさび色へと表情を変えていました。
佐倉市で始めた「職住一体」の暮らし

佐倉市出身の清野さんは、デザイナーとして東京や大阪で仕事をしていましたが、2020年4月から地元に戻り活動を開始。
デザイナーにとって東京を離れることはリスクも伴いますが、「東京でなくてもできることがある」と感じ、家族がより幸せになれると思う選択をしました。
今はその決断に後悔はないと言う清野さん。
自らデザインした仕事場兼住居は、自然に囲まれた土地で、家族と共に季節の移ろいを感じられる空間になっています。
素材を組み合わせ 地域と地域をつなぐ

普遍性をテーマに、人・物・事の背景を考えながら素材に向き合うデザインを行う清野さん。
ものづくりの起点は「誰かのためになるものを」という思いだと言い、その形はさまざま。
作品の一つである「TOT」という照明は、信楽焼きの窯元「艸方窯(そうほうがま)」の奥田芳久さんと、秋田県能代市の無垢材を専門に扱う木工作家・ミナトファニチャーの湊哲一さんとの共同制作です。
「地域と地域をつなぐ懸け橋となるようなものを作りたい」と語ります。
今後の目標を尋ねると、「佐倉市から世界へ作品を発信すること」と返ってきました。活躍の場はますます広がっていきそうです。
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