「熟睡できない」「夜中に起きてしまう」「枕や寝具が合わず、肩こりや腰痛がある」といった悩みを抱えていたり、「子どもの添い寝が終わって、自分に合う枕や布団に変えたい」と感じていたりなど、睡眠や寝具のことが気になっている人は少なくないのでは。
千葉県柏市にあるソサンスタイル寝室デザイン研究所の代表で、上級睡眠健康指導士として数多くの人の眠りに関する相談に応えている松本康人さんに、睡眠の質を向上させる方法や、寝具の選び方などを取材。ソサンスタイル独自の「一軒家ショールーム」でのフィッティング体験もさせていただきました。
公開 2022/01/25(最終更新 2023/12/26)

野中真規子
フリーライター歴20年。取手市出身。2021春に東京から我孫子市に移住し、手賀沼周辺の水辺や豊かな緑、遺跡、史跡、ユニークな個人商店などに囲まれた生活を満喫中。スパイスと魚影、日本語ROCK、RAP、民族的デザイン、音楽、祭り好き。https://makikononaka.com/
記事一覧へ目次
「すっきり起きられない」「なかなか寝付けない」のはなぜ?
松本さんは、国内およびドイツの寝具メーカーに通算32年間勤務したのち、上級睡眠健康指導士やインテリアコーディネーターの資格も生かして独立。2019年にソサンスタイル寝室デザイン研究所を開業しました。
現在は睡眠、寝具、寝室といった眠りに関するアドバイスや、一人ひとりに最適な寝具の紹介、販売も行っています。またソサンスタイルの一番の特徴は、マットレス4種類、ウッドスプリング2種類の合計8パターンを試せる一軒家ショールーム。睡眠環境に適した落ち着いた寝室で、天然素材のマットレスと寝具をゆっくりお試し体感できます。
海外の寝具展示会や工場も数多く回り、世界中の寝具事情に精通する松本さん。「布団の販売というと、高いものを売りつけられるイメージがあるかもしれませんが、そんなことはないので安心してください(笑)」
――睡眠不足や朝の目覚めが悪い、夜の寝付きが悪いなど、安眠できない理由とはどんなものなのでしょうか。
理由は大きく分けて2つあり、生活習慣と睡眠環境の問題です。たとえば、起きる、寝る時間が日によってまちまちだと、目覚めや入眠を司るホルモンの分泌が滞り、寝付けなかったり、夜中や早朝に目覚めたりします。昼寝のしすぎや休日の寝だめも眠りのリズムを崩します。また運動不足で体が疲れていない、就寝直前の食事で内臓が休まらない、お酒の飲み過ぎで交感神経が刺激されリラックスできない、などのことも不眠の原因となります。
さらに寝室の照明が明るすぎる、寝室が暑すぎる寒すぎる、湿気が多い、使っている寝具が体に合っておらずスムーズに寝返りが打てない、など睡眠環境の問題も安眠できない理由となります。
なおいわゆる不眠には、眠れない「入眠障害」、夜中に目が覚める「中途覚醒」、早く目が覚める「早朝覚醒」、寝ても寝た気がしない「睡眠障害」の4つのパターンがあります。「入眠障害」は精神的な問題や不安、緊張が強いときに起こりやすくなるといわれています。「中途覚醒」は成人の方に多く、中高年で頻度が高いです。「早朝覚醒」は高齢者やうつ病患者によくみられます。
――安眠できないと、どんなことが起こるのでしょう。
人間は寝ている間に記憶や、音楽やスポーツなどの体の感覚が定着するといわれています。眠らないと脳の働きが悪くなり、勉強や仕事のパフォーマンスも発揮できなくなります。今の日本は学力やビジネスの競争力が落ちていますが、日本人の睡眠時間が世界でもっとも短いことにも要因があるかもしれません。
お子さんの勉強も「徹夜して丸暗記する」などは大きな間違い。小中学生なら8〜9時間の睡眠をとり、寝る前に勉強し、起きてから15分程度、昨夜の復習を行うと、より定着しやすくなるのでおすすめです。また幼児期の睡眠不足は中学年期の肥満につながります。本来11〜12時間は寝かせてあげたいですね
睡眠の質を向上させる方法とは?
――安眠するにはどうしたらよいのでしょうか。
まずは生活習慣を整えましょう。起きる、寝る時間をなるべく一定にし、朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びて、朝食をしっかりとることで、目覚めや眠りを司るホルモンを24時間周期に調節できます。
昼寝は15分程度におさめましょう。昼寝前にコーヒーを飲むと、30分後にカフェイン効果が出てすっきり目覚められます。寝過ぎないよう、横にはならないように。15時以降の昼寝は夜の睡眠をさまたげるので、仕事帰りの電車などでは寝ないようにしましょう。
夕食は就寝の3時間前までにとり、お酒はほどほどに。
ぬるめのお風呂にゆったり入ることで、リラックスして眠りにつくことができます。
休みの日は寝坊しがちですが、せっかくの睡眠リズムが崩れないよう、いつもと同じ時間に起きて、太陽の光を浴び、朝食もとってから、寝足りないなら午前中に少し二度寝してもいいですよ。

睡眠環境も見直してみてください。蛍光灯の強い明かりは眠りのホルモンといわれるメラトニンの分泌が抑制され安眠を妨げます。夜のリビングや寝室の明かりは電球色で間接照明中心に。寝室の温度は夏は25〜26℃、冬は19〜22℃に、湿度は40〜60%に保ちましょう。
布団内の湿度を保つことも重要。たとえば、ウレタンフォームのマットレスに羽毛布団をかけると湿度が上がりすぎて蒸れてしまい、安眠を妨げます。ウールや綿のパッドや毛布など、通気性のよい天然素材の寝具を使うことで蒸れ感が軽減します。
体に合ったマットレスを使い、寝姿勢をよくすることも大切です。とくに横向きに寝た時に肩や腰に違和感がある、痛いなどのことがあれば、マットレスやパッドを見直すことで軽減できるケースも多くあります。
快眠へ導く寝具の選び方 〜肩こりに悩むスタッフが一軒家ショールームでフィッティング体験〜
ソサンスタイル寝室デザイン研究所では、安眠できる寝具を求める方のために、一軒家ショールームでのフィッティング体験を実施。今回は編集部Wが体験してみました。
好きなフレーバーのルイボスティーをいただきながら、睡眠にまつわるアンケートを記入。松本さんにヒアリングしてもらい、睡眠状況を把握していきます。
Wの場合、アンケートではほぼ睡眠の問題はなし。ただし肩こりが気になっており、マットレスを中心に試してみることにしました。
「寝具の見直しというと、枕を替えることをイメージされる方も多いのですが、マットレスの硬さによっても合う枕は違います。まずはマットレスを見直すことをおすすめします」と松本さん。
ソサンスタイル寝室デザイン研究所では、ホワイトビーチの木材と天然ゴムの樹液からできるラテックスブロックによるウッドスプリング2種類と、ラテックスマットレス4種類があり、合計8通りの組み合わせを試すことができます。
まずは土台となるウッドスプリングに仰向け、横向きに寝て、感触を確認。
そのままの状態では、背骨や腰がゆがんだ状態になりましたが、ラテックスブロックを調整してもらうことで、シルエットがまっすぐに!
さらに秘密の魔法(!?)を施すことで、一人ひとりの体型、寝姿勢、身長に合わせた土台が完成。
その上に載せるのがラテックスマットレス。触るとこんにゃくのように弾力のある感触です。最適な寝姿勢がとれるよう、頭部や肩など、体が当たる部分に合わせて穴の大きさや位置が設計されています。
「この設計のマットレスは、病院の床ずれ防止マットとしても活用されているもの。病院では衛生を保つためゴム製の生地を使いますが、ソサンスタイルでは最適な湿気を保てるよう、通気性のある生地を使用しています」と松本さん。
マットレスの上に載せるパッドも大切。ウールのパッドを選ぶことで、寝ている間の汗が吸収され、布団内の湿度を適正に保つことができます。
やわらかく、適度な弾力性があり、表面の伸縮性にすぐれたパッド。
ちなみにマットレス試用の場合、一般的にはパッドやシーツをかけずに行うケースが多いのですが、それでは実際の寝心地が感じられず意味がないそう。ソサンスタイル寝室デザイン研究所ではシーツまでメイキングした状態で試せるようにしています
寝てみるとふわっと包まれている感じ!
「横になっても、これは肩が痛くならない!すごーい!!」と感激のW。
さらに最適な高さの枕と、ふんわり軽く、隙間なく体にフィットする掛け布団も体験することができ、寝具によって睡眠時の快適性が大きく変わることをあらためて実感しました。寝具は購入のほか、月額千円程度のサブスクリプション使用もできるそうです。
「肩こりや腰痛がある人は、硬いマットレスを勧められて使っている場合が多いのですが、それだと横向きに寝た時に辛くなります。ウッドスプリングを使うのが理想的ですが、やわらかい少し厚めのパッドを重ねるだけでも体がだいぶ楽になりますよ」と松本さん。
快眠と肩こり・腰痛改善には寝具の見直しを
ぐっすり眠るためには、生活習慣や睡眠環境を見直すことが大切だとわかりました。
「特に肩こりや腰痛が辛い人や、お子さんの添い寝を卒業し、快眠を追求したいと考えている親御さんは、ぜひ寝具を見直してみては。当社のショールームは予約制で、人目を気にせず気の済むまで寝具を試せますし、睡眠、寝具、寝室にまつわるご相談もしていただけます。睡眠セミナーや飲食店とコラボした朝食イベントなども開催しているので、ぜひお気軽にお越しください」
イベントのお知らせ
2022年2月17日 睡眠とAromaのワークショップ開催
2022年3月20日 休日の朝ごはん(和風ダイニング わっ嘉とのコラボイベント)開催
ソサンスタイル寝室デザイン研究所
住所/千葉県柏市柏756-1
営業時間/9時~19時
※ご予約の場合20時入店まで受付
休館日/不定休
料金/相談、お試し体感は無料
駐車場/2台
アクセス/柏駅東口より徒歩18分(駅から送迎あり)
問い合わせ/ 04-7138-5051
HP/https://www.sosan-style.jp/