公開 2022/02/14(最終更新 2022/02/13)

ちいき新聞ライター

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役者から怪談師へ 地元で講演が実現

20歳まで市原市に住み、役者を目指し活動を続けていた怪談師の牛抱せん夏(本名牛抱千夏)さん。

2021年11月に市原市立中央図書館30周年イベントとして、特別講演「秋の夜長の怪談〜この世の裏側へ〜」を地元で開催しました。

夜の薄暗い図書館、講壇上のロウソクや小さく流れる「ヒュードロドロ」の効果音で、始まる前から緊張感が高まる当日の会場内。

着物姿のせん夏さんによる講演が始まると、観客は一気に話に引き込まれていきました。

市原市立中央図書館講談の様子
市原市立中央図書館講談の様子

せん夏さんは小学生の頃テレビで見た「四谷怪談」のお岩様(彼女はそう呼ぶ)を見て、「なんてきれいなのだろう、私もこんな役者になる!」とずっと夢見て過ごしていたそうです。

両親の反対もあり表向きは普通に就職活動をしていましたが、実はオーディションを受けたりエキストラを続けたりしていました。

そんなせん夏さんに転機が訪れたのは約20年前。エキストラ事務所の紹介で幽霊役に抜擢されました。

その後次々に幽霊役のオファーが入り、2010年には怪談の語り部が競い合う「稲川淳二の怪談グランプリ」で見事優勝。怪談師としての活動を開始しました。

聞いた後で何か一つでも心に残る作品を

古典怪談から現代怪談までと、実に幅広いせん夏さんの演目。

全て独学で、自分流の伝え方を模索しています。

市原市出身の怪談師・牛抱せん夏さん
市原市出身の怪談師・牛抱せん夏さん

彼女の中には幼い頃に祖母に聞いた話や実体験がたくさん詰まっています。

その経験や不思議な体験をした人への取材を基に演目を作り上げることも。

「怖いだけでなく感動を与えたい」と言うせん夏さん。その胸の内には、話すことで怪談の登場人物や聞き手の思いに寄り添いたいという気持ちがあるのでしょう。

昨年12月27日には、千葉県内のエピソードを集めた『千葉怪談』(竹書房)を出版。

身近な町を舞台にした怪談話は、怖さの中にも親しみが感じられるかもしれません。(取材・執筆/杏)

YouTubeチャンネル
牛抱せん夏「この世の裏側」
https://www.youtube.com/channel/UCAB5VFceCIpg7pKTOXpxysw

公式HP
https://ushidakisenkaofficialpage.jimdofree.com/