お口のトラブルは万病のもと!
放っておくと知らないうちに新たな病気の原因になることがあります。
定期的に歯科でチェックを受け、健康寿命を延ばしましょう。
歯周病予防の重要性について、一般社団法人千葉県歯科医師会の高原正明会長に話を聞きました。

公開 2022/04/20(最終更新 2022/04/14)

編集部 R
「ちいき新聞」編集部所属の編集。人生の大部分は千葉県在住(時々関西)。おとなしく穏やかに見られがちだが、プロ野球シーズンは黄色、Bリーグ開催中は赤に身を包み、一年中何かしらと戦い続けている。
記事一覧へ40歳以上の国民の8割が歯周病!
皆さんが歯科医院に行くのはどのタイミングですか?
痛みや腫れを自覚したときに、という人も多いかもしれません。
そうなる前に普段からケアしようというのが「予防歯科」の考え方。
予防歯科には毎日の歯磨きなど自宅で行うホームケアと歯科医院で処置を受けるプロフェッショナルケアの2種類があります。

食事後数時間で歯の表面にはネバネバした細菌の塊、歯垢(プラーク)ができ、これに唾液のミネラルが加わると、数日で硬い歯石になります。
丁寧に歯磨きをしたつもりでも、磨きにくい箇所には歯垢が残りがち。
歯垢が歯石になってしまうと、歯科医院の特殊な器具でしか取り除くことができません。

歯石は単なる石ではなく、細菌の塊。
放置すると細菌が集まり、さらに大きな塊に。
やがて歯茎の腫れ、出血など歯周病の症状が現れ、悪化すると最悪の場合、歯を失うことになります。
特に異常がなくても高齢者は3カ月に1度、若い人でも半年に1度は歯科医院で歯石を除去してもらいましょう。
症状が軽いうちに処置すれば、通院回数も総費用も結局少なくて済みます。
歯周病が全身へ及ぼす重大なリスク
歯周病の恐ろしさは歯を失うことだけではありません。
歯周病菌が体内に入るとさまざまな病気を引き起こしたり、悪化させたりします。
高齢者が特に注意したいのが誤嚥性肺炎。
口の筋肉の衰えから飲み込む力が弱くなると、誤って飲食物が食道ではなく気管支に入ってしまうこと(誤嚥)がよくあります。
口の中に歯周病菌がある状態で誤嚥すると、菌が肺に至って肺炎を誘発。
これを予防するには、口の中を常に清潔に保ち、歯周病があれば治療することが重要です。
糖尿病との密接な関係も証明されおり、糖尿病と歯周病の治療は並行して行うことが望ましいとされています。
その他、脳梗塞や心筋梗塞、認知症、インフルエンザ、低体重児出産などにも影響を与えるといわれる歯周病。健康で長生きするために、口から病気を予防しましょう。
お口の悩みを相談できる歯医者を持とう
かかりつけの歯医者を決めて定期的に受診するとさまざまなメリットがあります。
上手に磨けていない箇所を教えてくれたり、誤嚥予防のため、お口の機能強化のトレーニングを指導してくれることも。
「予防歯科」は単なる虫歯や歯周病の治療でなく、お口全体の健康、さらには全身の健康維持のために必要なケア。
意識して取り組んでいきたいものです。