訪れた国や地域90以上、海外への旅は213回。

旅行作家の秋山秀一さんが、自身で撮影した写真とともに、世界の街を歩いた思い出をつづります。

秋山秀一さん

秋山秀一さん
旅行作家、元東京成徳大学教授、NHK文化センター講師。日本旅行作家協会顧問理事、日本エッセイスト・クラブ理事、日本外国特派員協会会員。ちばぎん総合研究所発行『マネジメントスクエア』の連載「旅の達人が見た 世界観光事情」他、多数の旅行エッセーを執筆。鎌ケ谷市在住。鎌ケ谷市国際交流協会(KIFA)会長、鎌ケ谷市都市計画審議会会長。

 

【中国旅行記】福建土楼の承啓楼
世界文化遺産、福建土楼最大の承啓楼

公開 2022/04/23(最終更新 2023/03/09)

編集部

編集部

千葉・埼玉県在住の編集メンバーが、地域に密着して取材・執筆・編集しています。明日が楽しくなる“千葉・茨城情報”をお届けします!!

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世界文化遺産登録後、アクセスが便利に

中国福建省に、まるで砦のような建物の「土楼」がある。

そこに暮らしているのは、開封や洛陽といった中原地方の漢民族出身といわれる客家の人たち。

20年ほど前に初めてこの地を訪れたとき、厦門(アモイ)から山間の細い道を縫うように車を走らせ、4時間余りかかった。

今、この地域の変貌ぶりには驚かされる。

2008年、福建省にある土楼のうち46棟が「福建土楼」としてユネスコの世界文化遺産に登録され、道路事情も格段に良くなった。

【中国旅行記】福建土楼
世界文化遺産、整備された道を、福建土楼へ向かって進む

厦門からの所要時間は3時間となり、道中、「福建土楼」と書かれた道路標識を何度も目にした。

【中国旅行記】福建土楼
トンネル入り口にも、世界文化遺産・福建土楼について書かれている

大門から土楼に入り独特な空間を歩く

【中国旅行記】福建土楼、客家料理
客家料理の数々

客家料理を堪能した後、切手のデザインにも採用された最大の土楼、承啓楼を訪ねた。

【中国旅行記】福建土楼の切手
切手のデザインにもなった承啓楼

粘土を突き固めて築いた城壁のような壁に囲まれた砦と、住居を兼ねた円形の囲屋の直径は73m。

土楼の南に位置する唯一の出入り口、大門から中に入る。

【中国旅行記】福建土楼、承啓楼
承啓楼の入り口は、ここ一つ

正面に、祖堂。祖堂の周りを平屋が二重に囲み、さらにその外側を4階建ての建物が円形に取り囲んでいる。

東西に二つの井戸があり、2階は穀物を貯蔵する倉庫で、3階と4階が住まいとなっている。

【中国旅行記】福建土楼、承啓楼
土楼の中で生活しているが人いて、台所もある

現在、見て回れるのは1階だけ。

そこに土産物を売る小さな店が並んでいる。

【中国旅行記】福建土楼
土楼の中の土産物屋

石畳の道を、裏山の展望台まで歩いて上り、承啓楼をはじめとする土楼群を眺める。

改めて土楼の大きさを認識。

【中国旅行記】福建土楼
展望台から眺める、承啓楼と周辺の土楼群

この独特な景観を存分に楽しんだ。(文・写真/秋山秀一)