訪れた国や地域90以上、海外への旅は213回。
旅行作家の秋山秀一さんが、自身で撮影した写真とともに、世界の街を歩いた思い出をつづります。

公開 2022/04/23(最終更新 2023/03/09)

世界文化遺産登録後、アクセスが便利に
中国福建省に、まるで砦のような建物の「土楼」がある。
そこに暮らしているのは、開封や洛陽といった中原地方の漢民族出身といわれる客家の人たち。
20年ほど前に初めてこの地を訪れたとき、厦門(アモイ)から山間の細い道を縫うように車を走らせ、4時間余りかかった。
今、この地域の変貌ぶりには驚かされる。
2008年、福建省にある土楼のうち46棟が「福建土楼」としてユネスコの世界文化遺産に登録され、道路事情も格段に良くなった。

厦門からの所要時間は3時間となり、道中、「福建土楼」と書かれた道路標識を何度も目にした。

大門から土楼に入り独特な空間を歩く

客家料理を堪能した後、切手のデザインにも採用された最大の土楼、承啓楼を訪ねた。

粘土を突き固めて築いた城壁のような壁に囲まれた砦と、住居を兼ねた円形の囲屋の直径は73m。
土楼の南に位置する唯一の出入り口、大門から中に入る。

正面に、祖堂。祖堂の周りを平屋が二重に囲み、さらにその外側を4階建ての建物が円形に取り囲んでいる。
東西に二つの井戸があり、2階は穀物を貯蔵する倉庫で、3階と4階が住まいとなっている。

現在、見て回れるのは1階だけ。
そこに土産物を売る小さな店が並んでいる。

石畳の道を、裏山の展望台まで歩いて上り、承啓楼をはじめとする土楼群を眺める。
改めて土楼の大きさを認識。

この独特な景観を存分に楽しんだ。(文・写真/秋山秀一)
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