障害や病気などで「服の選択肢の少なさ」に悩む人のため、既製服を着やすくするお直しサービスがスタートしました。

身体の不自由な人の服のお直しをするオンラインサービス「キヤスク」
依頼から受け取りまですべて自宅で完結できるオンラインサービス

公開 2022/04/06(最終更新 2022/04/04)

広田 みずほ

広田 みずほ

埼玉県生まれの千葉県民。地域新聞社で広告の企画営業、編集部を経て現在広報担当。好きなものは東南アジアとハイボール。勝田台駅周辺の酒場放浪記を書きたい。★X(旧Twitter)★@tahirom2

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着やすさ優先で服を選ぶしかない人たちがいる

株式会社コワードローブ代表 前田哲平さん
株式会社コワードローブ代表 前田哲平さん

2022年3月1日から提供を開始した「キヤスク」は、体の不自由な人が気軽に服のお直しを依頼できるオンラインサービスです。

自分の好みよりも、着やすさを優先して服を選ばざるを得ない人たちが自由に服を選べるようにと、株式会社コワードローブの前田哲平さんが立ち上げました。前田さんは、このアイデアで「第7回ちば起業家ビジネスプラン・コンペティション(CHIBAビジコン2021)」のファイナリストに。審査の結果、弊社・株式会社地域新聞社が贈る「ちいき新聞賞」の他、複数のサポーター賞を受賞しました。

身体の不自由な人の服のお直しをするオンラインサービス「キヤスク」
「ちいき新聞賞」の賞状と

前田さんは昨年1月までユニクロに在籍。カスタマーセンターに届く意見に目を通していた時、「障害があるため、着られるものが少ない」という声が気になり、どういうことか理解したいと思った前田さんは、2018年から個人的に当事者へのヒアリングを開始。3年間で800人に話を聞きました。好きな色やデザインで服を選べない状況にある人のことを知るうち、「何か自分にできることをしたい」と創業を決意。「キヤスク」立ち上げ資金の半分は、クラウドファンディングによる支援で集まりました。

困っている人の悩みを可視化する存在に

身体の不自由な人の服のお直しをするオンラインサービス「キヤスク」
前開きにするお直しは腕が曲がりにくい人などにお薦め

「キヤスク」では、Tシャツを前開きにするお直しや、シャツのボタンをマジックテープ留めに変えるお直しなど、多様なメニューを用意。お直ししたい服を準備してサイトにアクセスし、「キャスト」と呼ばれる担当スタッフと詳細を打ち合わせたら、服をキャストに送ります。そして、お直しが完了すると服が返送される仕組みです。

「特別仕様の服を作ることも考えましたが、選択肢をいくつか増やすことにはなっても、根本的な解決にはならない。先に着たい服を選んで、後から着やすくするお直しサービスなら、誰もが同じ条件で服を選べます」と前田さん。

キャストは、肢体不自由児の親である人が多く、「自分の子のために独学で習得したお直し技術を、同じ悩みを持つ人に提供したい」と参加してくれたといいます。「キャストが寄り添い、一緒に考えるので、まずは気軽に相談してほしい」と前田さん。「自分が好きだと思う服を着ることは誰にとっても喜び。『キヤスク』を通じて困っている人の存在を知ってもらい、当たり前に着たい服を着られる世界に向かうきっかけとなれば」と話してくれました。

株式会社コワードローブ
住所 千葉市中央区富士見2-7-9-609
問い合わせ/co.wardrobe.tmaeda@gmail.com 
HP/https://co-wardrobe.com/
キヤスク/https://kiyasuku.com/