佐倉市内のとある森の中。
春になるとこの敷地内に開花する「クマガイソウ」というかれんな植物が今、絶滅の危機にさらされていることをご存じですか。
公開 2022/04/08(最終更新 2022/05/11)

繁殖力弱く盗掘も 守れ!クマガイソウ
その唇弁の膨らみが、源頼朝に仕え源平合戦で平敦盛を討ったことで名を残す、鎌倉初期の武将・熊谷直実の母衣に似ていることが由来とされ、扇形の葉も特徴的な「クマガイソウ」。
日本・中国南部などに生息するも、繁殖力の弱さや盗掘被害から、日本では絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されているこの植物が、佐倉市の下志津でひっそりと自生しています。
狭い範囲でありながら竹林・杉林・落葉樹林などをはじめ、特に園路脇など目に付きやすい場所にも自生しているのは全国的にも珍しい。
その希少価値に早くから注目していた坂本文雄さんは、クマガイソウをはじめとした野生植物の保護活動に携わり、「里の花プロジェクト」というボランティア団体の代表を10年以上務めてきました。
また、同地域で活動する別団体とも協力しながら、日々里山の保護に力を注いでいます。

竹林整備努力報われ100を超える開花
同プロジェクトの定期活動日だったこの日は、クマガイソウが毎年開花する竹林の整備作業がメインとなりました。
竹林が過密になると、クマガイソウの成長に必要な光が届きにくくなるため、竹を程よく間引きしていきます。
月2回の活動に参加して3年の阪上さんは、枝払いにおいて、竹稈(竹の幹に当たる部分)と枝の間に当てる、こん棒の角度が難しいと話します。
「去年の開花は素晴らしかった。この活動で地域の交流が広がっていいことばかり」と笑顔で続けます。
整備の成果が表れ、2015年時点で0だった花数は17年には7個に。
20年を過ぎた頃には100個を超え、今年は200個の開花を期待しています。

地域で愛し、そして地域の目で守りたい
「盗掘被害が大きな悩み。希少価値が高いこの花を、今後は隠すことより多くの人に楽しんでいただき、住民同士で見守っていければ。また、メンバーの高齢化もあるので、行政の力も必要だと強く感じています」と、坂本さん。
今年は開花予想に合わせ初の観察会も。
佐倉の宝をめで、地域ぐるみの保護意識が広がることが期待されます。

▶クマガイソウの保護活動と開花の動画はこちら!
クマガイソウの観察会 ※今年の観察会は終了しています
日時/4月14日(木)~21日(木)
午前9時~午前11時(16日を除く)、午後1時~午後3時
集合場所/詳細は返信メールで案内
参加費/200円(資料代)
定員/毎回20人
申込・詳細問い合わせ/
saka.nabana@catv296.ne.jp 坂本
※小雨決行