日常生活に支障がないからと放置しているいびき、少し我慢すれば治るからとそのままにしているめまい…
実は重い病気につながるサインかも?
お話を聞いたのは…
いなば耳鼻咽喉科クリニック(茨城県取手市)
院長 稲葉雄一郎さん
公開 2022/04/22(最終更新 2022/04/19)

編集部 R
「ちいき新聞」編集部所属の編集。人生の大部分は千葉県在住(時々関西)。おとなしく穏やかに見られがちだが、プロ野球シーズンは黄色、Bリーグ開催中は赤に身を包み、一年中何かしらと戦い続けている。
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睡眠時無呼吸症候群(以下、SAS)をご存じですか。
これは、睡眠中に呼吸が止まり、熟睡できないため日中の活動に支障が出たり、体に大きな負担がかかり重病や突然死の原因にもなり得る疾患です。
SASで体内の酸素が不足すると、これを補うために心臓を速く動かしたり、睡眠中無意識に覚醒して深い呼吸をしたりします。寝ているのに全くリラックスできない状態(交感神経優位)が続くため、血圧や血糖値の上昇が起こり、メタボリックシンドロームの悪化も招くのです。
次のような症状が見られたら、すぐに受診しましょう。
(1) いびきが異常にうるさいと周囲の人に言われた
(2) 日中の極度な眠気や起床時の強い倦怠(けんたい)感
(3) いびきに加え急激な体重増加傾向
SASの治療法は原因となっている部位と重症度によって違います。

鼻が原因の場合は薬や手術で改善可能。口呼吸による代替が可能なため、診断上は正常から軽症に分類されることが多いですが、患者は非常につらく感じます。
鼻より重症なのは喉に異常があるとき。舌根が下がって気道が狭くなる場合は、重症度によりますが、就寝時にマウスピースを装着して気道を確保して対処します。最も効果が高い治療法は、CPAP(シーパップ)という呼吸器をつなぎ、圧力を掛けた空気を鼻から気道に送り込む方法です(重症者以外は保険適用外)。これらの治療で呼吸状態が良くなると、高血圧や高血糖などの数値が見られることもあります。
内耳や脳の異常からめまいが起こる
めまいの原因はさまざま。ここでは40代以降の女性に多く見られる病気を2つご紹介します。
良性発作性頭位めまい症は、前庭にある耳石(炭酸カルシウムの結晶)がはがれて三半規管に入って起こるもの。

頭を回す動作(目薬を差す・靴ひもを縛る・寝返りを打つなど)をするとめまいを感じます。耳石が元の位置に戻れば治るので、頭を動かす「めまいリハビリ」によって、早ければ2週間程度で回復します。
メニエール病は内耳(蝸牛 ※かぎゅう・前庭・三半規管)のむくみから起こるめまい。ストレスをためがちな真面目な人に多いといわれます。完治は難しく、服薬と生活習慣の改善によって、発症を抑えながら気長に付き合っていくことになります。
めまいにはこれら内耳の異常に由来するものだけではなく、脳内に原因がある中枢性めまいもあります。後者には脳こうそくなどの可能性も。以下のような症状が現れた場合は、中枢性めまいかもしれません。
ネットにはめまいに関する情報があふれていますが、うのみにして「この症状なら大丈夫」などと素人判断を下すのは危険です。
少しでも気になる症状があれば、かかりつけ医に話してみましょう。
かかりつけ医がいない場合は、いびきやめまい治療を行っている耳鼻咽喉科に相談してみてはいかがでしょうか。
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