県内の生き物の多様性に関する情報を一元管理し、発信している千葉県生物多様性センターでは、県民参加型の「生命のにぎわい調査団」を発足し、生き物調査を実施しています。

公開 2022/05/22(最終更新 2022/05/23)

編集部 モティ

編集部 モティ

編集/ライター。千葉市生まれ、千葉市在住。甘い物とパンと漫画が大好き。土偶を愛でてます。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。★Twitter★ https://twitter.com/NHeRl8rwLT1PRLB

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さまざまな生き物の分布や状況を調査

千葉県内に生息する、植物や昆虫、動物や鳥について分布や状況を細かく把握するのは、専門機関でも大変なこと。

そこで発足されたのが、県民参加型の「生命のにぎわい調査団」です。

調査団の主な活動は、生き物を見つける「発見報告」と、初咲きや初鳴きを知らせる「季節報告」の2つ。

対象となるのは、「千葉県にもともといた生き物(イタチやキジ、メダカなど)」「季節の変化を感じさせる生き物(ウグイス、ツバメ、アジサイなど)」「地球温暖化などによって入ってきた生き物(ナガサキアゲハ、クマゼミなど)」「海外から入ってきた生き物(ウシガエル、アライグマなど)」の4つの観点から選ばれた57種。

しかしそれ以外の生き物についての報告も大歓迎とのこと。

生命のにぎわい調査団
たくさんの種類の生き物がバランスを保ち、共生する様子を「生命のにぎわい」と表現

生命のにぎわい調査団

生命のにぎわい調査団

千葉県の生き物を調査できる人なら誰でも参加でき、大人から子どもまで約1600人が登録。

年間で1万件以上の報告が寄せられています。

身近な生き物をできる範囲で報告

生態調査というと、山や川などにわざわざ出掛けて行うイメージがありますが、「毎日同じ時間、同じルートで通勤・通学する皆さんにこそ、参加いただきたいのです」とセンター室長の小野知樹さん。

「生物の分布や状況を把握するのに定点観測は大切なポイント。昨年と同じ場所にタンポポが咲いていたら、それも貴重なデータですし、逆に今年は咲いていない、という報告も重要です」と話します。

例えばウグイス。

初鳴きのタイミングを一定期間モニタリングすることで、年を追うごとに時期がずれていくのが見えてきます。

そこから、環境や気候の変化との因果関係について調べるなど、蓄積したデータは、生物多様性の変化の把握や保全活動に役立てられていきます。

とはいっても、「難しく捉えずに、身の回りの自然に関心を持つきっかけにしてもらえれば」と、あくまで気軽に取り組んでほしいと笑います。

生命のにぎわい調査団
情報交換の場としてフォーラムも開催
生命のにぎわい調査団
職員がガイドとなり、自然観察をする研修会も年に2回実施

団員からは、活動を通じて「興味の幅が広がった」といった声も。

身近な虫や鳥、草花など日常で出合える生き物に目を凝らし、気付くことで、見慣れた景色もまた違って見えるかもしれません。

※入団申し込み・問い合わせ
TEL/043-265-3601
HP/https://www.bdcchiba.jp/
同センター

「生命のにぎわい写真展」
調査団が撮影した写真に、中央博物館学芸員のコメントを添えて展示
日時/6月14日(火)~7月3日(日)
会場/県立青葉の森公園・森のギャラリー
住所/千葉県千葉市中央区青葉町977-1