食べず嫌いの人にこそ知ってほしい、健康食品・納豆の実力!
後から後から糸を引くように尽きないその魅力について、納豆博士の伊東宏一さんに教えてもらいました。
公開 2022/07/04(最終更新 2022/07/04)

編集部 R
「ちいき新聞」編集部所属の編集。人生の大部分は千葉県在住(時々関西)。おとなしく穏やかに見られがちだが、プロ野球シーズンは黄色、Bリーグ開催中は赤に身を包み、一年中何かしらと戦い続けている。
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「畑の肉」大豆の栄養を効率よく取れる納豆
納豆は大豆を納豆菌で発酵させたものです。
「畑の肉」と呼ばれる大豆には、栄養と効用がいっぱい。
古代から万能薬として知られていました。
奈良時代の高僧が脚気にかかって寝起きも不自由になり、「薬にしたいから大豆を一升ばかり支給してください」と役所に請願した文書が正倉院に残されているほどです。
それゆえ豆腐、みそ、煮豆など の大豆加工品も栄養は豊富です。
それでも大豆からの栄養吸収率は煮豆で 70 %弱程度。
一方、 納豆の栄養吸収率は何と約 90 %!
大豆の栄養をほぼまるごと吸収できるのが特徴です。
さらに発酵過程で豊富なタンパク質が必須アミノ酸や酵素を生成し、パワーアップ する優れモノ!
サポニンやレシチン、イソフラボン、食物繊維、ビタミンB1、カリウムなどの栄養が納豆菌の発酵効果で変身し、納豆の健康パワーが引き出されるのです。
ちなみに適切な湿度・温度の下、有効な植物性 タンパク質と納豆菌があれば、納豆のような 食べ物はできます。
納豆菌は日本固有のも のではなく海外にも存在し、東南アジアでは稲ワラではなくバナナ の皮に豆を包んで発酵 させた「ちまき」のよ うな納豆、ナイジェリ アには木の実を発酵させた納豆のようなものがあります。
納豆パワー!その主な効用
積極的に食べたいのには理由があるのです。
血栓を溶かす
納豆だけにある酵素ナットウキナーゼが5~8時間効果を持続。
血栓は深夜から明け方にできやすいので、特に高齢者の夕食に納豆はおすすめです。
老化を防ぐ
納豆は高ポリアミン食の王様!
ポリアミンは細胞の増殖と生存に不可欠な物質で、動脈硬化防止やアンチエイジング、ダイエットなどに効果があるといわれています。
納豆を1日1パック(50g)食べ続けると、約8週間で血中のポリアミン濃度が高まります。
血中濃度上昇が確認されている食品は現時点では納豆だけです。
血圧を下げる
血液をサラサラにするリノール酸や、細胞の老化を防ぐビタミンが血管を若々しく保ちます。
骨を丈夫にする
カルシウムを体内に効率よく取り込むにはビタミンK2が必要。
納豆菌は、このK2を作り出すので骨粗しょう症の防止に有効です。
脳を活性化
脳の神経細胞の働きに関わるレシチンを含む納豆。
納豆卵かけご飯は記憶力向上も期待でき、朝食に最適です。
美肌をつくる
納豆菌や酵素群は、消化吸収にに役立ち、排便を促し、肌荒れを予防します。
特に「美容ビタミン」と呼ばれるビタミンB2は美容、美肌、整腸、ダイエットなどの効果があります。
免疫機能UP
コロナ禍で効果が注目されている、免疫機能UPの酵素3兄弟!
葉酸は免疫機能向上と造血作用、ジピコリン酸は抗菌作用と下痢予防、パンテトン酸は免疫機能向上と毛髪フサフサ効果があるといわれています。
初心者におすすめのレシピ
チーズが納豆臭を抑えるので、食わず嫌いの人や外国人にも好評だったという「納豆ピザ」。
※ただし熱により多少酵素の働きが失われます。
お手軽納豆ピザ
【作り方】
食パンにみじん切りの玉ネギとピーマン、スライスしたトマトを敷きます。
そこにタレとからしを混ぜた納豆を載せ、上にピザ用チーズを重ねて溶けるまでオーブンで焼いて出来上がり。
納豆豆知識
納豆についてのあれこれを納豆博士に聞きました!
糸引き
豆が軟らかく粘りがあり、十分糸を引くのが良い納豆です。
何百種類もの酵素を含む糸はグルタミン酸ポリペプチドという旨味成分なので、よく混ぜて増やした方が、口に入れたときにおいしく感じやすいです(かき混ぜる目安は20~30回)。
酢やオリーブ油などを数滴らすと粘りが弱まり、食べやすくなるので、糸引きが苦手な人にはおすすめ。
トッピング
ネギや玉ネギで血液サラサラ効果が、からしで抗菌作用がアップします。
食べ方に決まりはないので、好みのものでいろいろ試してみては。
保存
乾燥すると白っぽくシャリシャリとした食感になるので、冷蔵庫内ではポリ袋に入れ、野菜室などで保存を。
冷凍も可能で、南極観測船が1年分の納豆を現地に持って行ったことも。
解凍したらすぐに食べましょう。
博士のおすすめ!
「私が今はまっている食べ方は、納豆をかき回さず、その上に家内特製のカスピ海ヨーグルトをトッピング。翌朝のお通じもスムーズになりますよ」
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