「終活」がブームとなり、生前整理を始める人が増えています。

生きているうちに物や財産を整理しておくことでどんなメリットがあり、どう整理すればよいのか、遺品整理士の髙城さんに聞きました。

 

髙城衛紅さん

教えてくれたのは…
昌和産業株式会社 スタッフ・遺品整理士
髙城衛紅(えいこう)さん

 

公開 2022/06/23(最終更新 2024/03/16)

野中真規子

野中真規子

フリーライター歴20年。取手市出身。2021春に東京から我孫子市に移住し、手賀沼周辺の水辺や豊かな緑、遺跡、史跡、ユニークな個人商店などに囲まれた生活を満喫中。スパイスと魚影、日本語ROCK、RAP、民族的デザイン、音楽、祭り好き。https://makikononaka.com/

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多大なお金と労力がかかる遺品処分

生前整理とは、自分が亡くなった後に遺族が困らないよう、財産や持ち物などをあらかじめ整理しておくことをいいます。生前整理を行わないと、遺族が不要な物や、処分に困る物を片付けなくてはならず、手間と時間とお金もかかります。業者に処分を依頼すれば、物が多い一戸建ての場合、20〜50万円もの費用がかかることもあります。

また、物が散らかっていると、遺族が空き家の整理をしたくても、なかなか売り手・借り手が見つからず、固定資産税を払い続けなければならないケースも。生前整理を行うことで、こうした負担を減らせる他、財産分与がスムーズに進められ、相続問題を軽減することにもつながります。

身の回りを片付けておけば、自分自身が快適に暮らせるというメリットも。今後、施設や病院に入ることになった場合も、物が整理されていれば落ち着いて対処できます。さらに、貴金属など価値ある物は売っておけばお金になります。

生前整理
価値ある物はリサイクルショップなどで買い取ってもらいましょう

生前整理を行うメリット

□ 遺族の負担を軽減できる

□ 相続問題を軽減できる

□ 自分自身が快適に暮らせる

□ 価値あるものをお金に換えられる

物を減らせば処分費用も減らせる

生前整理

生前整理の第一歩は、使わない物を捨てることです。物の量を減らしておけば、自分の死後、遺族が業者に処分を依頼する場合の出費も減らすことができます。

食器や衣類、調理器具などの取捨選択も必要です。判断に迷うものは箱などに入れて3カ月ほど保存し、その間一度も使わなければ捨てる、などルールを決めておくとスムーズに減らせるでしょう。アルバムや手紙、年賀状など思い出のものはとっておいてもいいと思いますが、ダンボール1箱など容量を決めておくと、遺族が整理しやすくなります。

それでも判断に迷う時や全て自分で行うのが難しい時は、専門業者に相談を。業者によって対応できるサービス内容は異なりますが、部屋の片付け、清掃から不用品の回収までまとめて依頼できる業者であれば、依頼する手間が省け、トータルの費用も抑えられます。不用品の買い取りは、古物商許可証を持つ業者であれば行っています。また、遺品整理士の資格を持つスタッフがいるところなら、本人や遺族の気持ちに寄り添ったアドバイスをしてくれるでしょう。

始めるなら気力・体力があるうちに

信頼できる業者かどうか見極めるには、「一般廃棄物収集運搬業」という許可を持っているか確認を。不法投棄などのトラブルに巻き込まれないよう、回収した不用品を適正に処理している業者を選んでください。料金は整理する物の量などによるので、必ず事前に見積書を出してもらうようにしましょう。

最後に、自分が亡くなった後の財産分与のために、財産をリストアップし、必要に応じて遺言書も作成して、残した物の行き先を決めておくと安心です。

生前整理の進め方

1.必要な物と不要な物を分類する

2.不要な物を処分する

3.財産をリストアップする

4.遺言書を作成する

生前整理はすぐに終わるものではありません。数年かかると考え、早めに始めるのがお勧めです。年齢に関わらず、転職時や子どもが独立した時など、人生の節目ごとに整理をするとよいでしょう。気力・体力があるうちに、少しずつでも着手したいですね。