豊かだと思っていた日本で「子どもの貧困」が広がっています。
15 年前、いち早くそれに気付いた渡辺さんが、困窮家庭の子どもの学習支援のために立ち上げたのが「キッズドア」です。
著書『子どもの貧困』。58歳
公開 2022/07/05(最終更新 2022/07/28)

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東京生まれ。月の出ている日は必ず見つけて写真に撮りブログにアップする月大好き人間です。果物を食べながら、「この果物はどうやって生まれてきたのかな?」とすぐ考えるタイプ。ちなみにプロフィール写真は、以前記事作成のために撮影した栗の赤ちゃんです。
記事一覧へ外からは見えづらい日本の子どもの貧困
夫の仕事で1年住んだ英国では、公立学校での親の負担はほぼなく、「子どもを社会全体で育てている」と感じました。
ですが、日本に戻ると、「子どもの教育は親の責任」と給食費、教材費など親の負担は重く、困窮家庭では塾代が出せず、公立高校に落ちれば進学できない子がいることに気付きました。
2007年に活動を開始。
10年には経済的理由で塾に通えない公立高校受験生の試験対策用「タダゼミ」を開設しました。
ですが、「塾代」どころか、見た目の服装からは想像できないような生徒の厳しい生活実態を知り、支援は「学習」から「食や居場所の提供」へと広がりました。
現状を広く人々に知らせ、大きな輪に!
日本には今、世帯収入が国民全体の中央値の半分に満たない困窮家庭の子どもが、7人に1人の割合でいるといいます。
「家の事情で子どもの能力を育て損なったら、それは社会の損失!『少子高齢化』の中、将来を担う数少ない子どもへの支援は、『福祉』ではなく『将来への投資』です」。
そう語る渡辺さんの話は明快そのものです。
これに多くの人が賛同し、無償で先生役を引き受ける人々や協力する企業が集まりました。
それを力に、行政の委託事業や自主事業として、ひとり親世帯など困窮家庭の子どもへの学習支援に、取り組んでいます。
中退者の多い高校から相談を受けて、土曜の補習授業をしたこともあります。
最初集まった参加者は7、8人でしたが、2年後には希望者が10倍になり、ボランティア確保に苦心したうれしい経験も味わいました。
「学習で生徒は変わる!」この手応えが、活動を支える人々の喜び、原動力。
2021年度には全国64拠点で、900人以上のボランティアにより生徒約1900人への学習支援、居場所食の支援を実現。

さらに他の団体と共に、政府に児童扶養手当増額や給付型奨学金を提言し、実現につなげました。
コロナ禍では新たに、困窮子育て家庭に食料や文房具支援、情報支援を行う「ファミリー・サポート」も開設しました。
すべては「日本の子どもたちの笑顔のために」。
※問い合わせ
TEL/03-5244-9990
(平日午前10時〜午後6時受付)
HP/https://kidsdoor.net/