近年、通院でがん治療をする人の増加に伴い、家庭での食事問題が多様化しているといいます。
「がんと共存する」時代に、レシピ動画で患者と家族を応援したいと国立がん研究センター東病院栄養管理室はレシピ動画を公開しました。
公開 2022/07/06(最終更新 2022/07/05)

食べる人・作る人へ分かりやすく簡単に
がん患者は高齢者が多く、一人暮らしあるいは家族も同世代が多いといいます。
また、若い患者の場合は仕事や育児をこなしながら、家族の食事とは別に、自分の体調に合った食事を作る時もあるそうです。
国立がん研究センター東病院栄養管理室では、2008年から地域のがん患者支援のため、がんの治療に伴う諸症状に悩む患者やその家族を対象に「柏の葉料理教室」を開催。
そして、がんと食に関するサイト「CHEER!(チアー)」をホームページで公開中です。

「CHEER!」は「Cancer(がん)、Help(助ける)、Eat(食べる)、Easy(簡単)、Recipe(レシピ)」の頭文字からとった造語。
食を通して「応援する」(チアー)という意味も込められています。
現在は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い休止中ですが、今こそ教室で好評だったレシピをより多くの人が活用できるようにと動画制作に力を注いでいます。
室長の千歳はるかさんは「料理教室と同じく作りやすさを第一に、材料の混ぜ加減やとろみ具合など、見て確認いただくことに重点を置いています」と話します。

体調が悪いときは肩の力を抜いていい
レシピ動画は患者に好評です。
ある一人暮らしで抗がん剤治療の影響から倦怠感のある患者に、「今はレシピの文字を読むことさえつらい」と言われましたが、動画は「手順や調理器具がスッと頭に入ってきて分かりやすい」と喜んでもらえたといいます。
お薦めのメニューは「鍋一つでマイルドナポリタン」と「ヨーグルトで作る即席ぬか漬け風」。
ナポリタンは、口内炎や食道炎があっても食べやすく、たんぱく質も取れるクリームチーズを混ぜ込んでいます。
また漬け物は、がん患者にとって食べやすいものの一つ。
本格的なぬか漬けと違い、ヨーグルトとみそだけで作る簡単レシピです。
「食事に絶対の決まりはありません。CHEER!は手軽なレシピが中心。食事作りが苦痛でなく楽しみに変わり、皆さんの笑顔が増えるとうれしいです」と千歳さんは話します。 (取材・執筆/しんう)
※問い合わせ
国立がん研究センター東病院 栄養管理室
TEL/04-7133-1111
HP/https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/CHEER/movie.html