北総線の開業とともに東京への通勤圏として発展する白井市。

その一方で、昔からの方言が消えつつあります。

白井市教育委員会は地域の貴重な文化としての方言を調査し、このほど、1874語をA4判86頁の冊子『白井の方言辞典』としてまとめました。

公開 2022/07/10(最終更新 2022/07/08)

ちいき新聞ライター

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「べーべーことば」など特色ある方言

白井の方言辞典
『白井の方言辞典』

冊子は2018年度から21年度に実施した白井市の民俗調査の結果を基にまとめました。

住民からの聞き取り調査や各種記録も参考にしました。

あいうえお順に記載され、意味、使われている地区、補足説明などで構成されます。

白井の方言は、関東に広がる「べーべーことば」や江戸・東京、東北の言葉の影響を受けています。

「べーべーことば」の代表的なものとして「だんべ」が挙げられます。

これは「だろう」という意味。

その他の特徴では、カ行語末の濁音化。

例えば、坂を「さが」と読みます。

「に」が「ね」となる特徴においては、銭を「ぜね」と読みます。

母音の長音化もあり、「甘い」は「あめー」となります。

小さくてかわいいものや、大切なものには「っこ」を付けます。

例えば、「乳」は「ちっこ」となるなど。

また、「せきもせっぱたもない」といった興味深い言葉もあります。

「せき」は「席」、「せっぱた」は「席端」のことで、「足の踏み場もない」という意味になります。

古くから方言調査 白井方言東西番附も

白井での方言の調査は古くから行われています。

1915(大正4)年の白井村誌には「くね」(垣根の意味)や「かまげちょろ」(トカゲの意味)など46語が掲載されました。

1967(昭和42)年の白井町発行の暮らしのガイドブック『べんらん』には「白井方言東西番附」と題して100語が掲載されています。

白井方言東西番附
白井方言東西番附

東横綱に「ぢいばあ」(祖父母の意味)、西横綱には「はなっぽろ」(食いしん坊の意味)が選ばれました。

しかし、同市教育委員会によると、これらを白井独自の方言と断定することは難しいといいます。

「たらんぼ」(つららの意味)、「まんじゅーむし」(カブトムシの幼虫の意味)など白井だけでなく印旛地域でも使われたり、遠く離れた地でも同じ言葉が使われていたりすることもあるといいます。

調査を担当した同委員会生涯学習課の戸谷敦司さんは「多様な方言があり、何げない会話の中でふと方言に気づくこともあるかもしれません」と話しています。 (取材・執筆/ソバ)

※問い合わせ
TEL/047-492-1123
白井市教育委員会生涯学習課