9月1日は防災の日。
読者体験談の中から、2019年9月9日に千葉県千葉市付近に上陸し、関東各地で記録的な暴風となった令和元年房総半島台風(台風第15号)の時のエピソードと防災術をご紹介します。
思いがけない長期停電の中で、本当に役立ったものとは?
公開 2022/08/24(最終更新 2022/09/06)

目次
5日間の停電を経験 通地 陽子さん【袖ケ浦市】

※ちいき新聞読者コミュニティー「ちいきラボ」に登録しているママたち
送電鉄塔の倒壊で予想外の長期停電に
2019年9月9日、千葉県に台風15号が上陸した日に停電が始まりました。
度々停電と復旧を繰り返していましたが、朝4時半頃から完全に停電。
後で知ったことですが、君津市の送電鉄塔の倒壊が原因でした。
台風に備えてやっていたことと言えば窓に養生テープを貼ったくらいで、停電は全く予想していませんでした。
停電の他、家の裏の建物の屋根瓦が強風で飛んできて、外壁や雨樋に穴が開くという被害もありました。

先の見えない分散避難生活に募る不安や疲れ
当時長女が9歳、次女が0歳。
子どもが小さかったので避難所へは行かず、初日は車中泊をしましたが、狭さや暑さでほとんど眠れませんでした。
同じ地域内でも早く復旧した家と停電している家があったので、翌日以降は長女だけ同じ小学校のお友達宅に泊めてもらい、長女以外は東京都内の夫の実家へ。
長女のお友達家族がお風呂を貸してくれたり、「うちにおいで」と声をかけてくれたりしたのはありがたかったです。
いつ復旧するか分からないので日中は自宅に戻り、自宅と実家を行き来する毎日を繰り返しました。
次第に疲れもたまってきます。
携帯の電波も安定せず、無駄に電気を消耗してしまうので、ニュースも確認しづらかったですし、周りとの連絡も取りづらいという状況はかなりのストレスでした。
あの日のエピソード
近所のママ友とは大変な状況を理解し合えました。日頃のご近所付き合いは、非常時の助けになると実感。
停電下で本当に役に立ったもの
幸い我が家には太陽光の非常用電源がありました。
初めて使用してみて気付いたのは、多くの家電が非常用電源から離れた場所にあるということ。
たまたま家にあった5m以上の延長コードが役に立ちました。
その他停電下で活躍したのは、クッション・タオル・キルトマット類、クールアイテム、ビニール袋、電池各種。

クッション・タオル・キルトマット類は、寝具や座布団代わりになります。
一カ所に長時間座っていなければならない時、クッション類があるとかなり疲労度は軽減されました。
夏場のエアコンが使えない状況下では、クールアイテムも必須。
乾電池式のハンディ扇風機やクールミストなどがあると、体感温度がだいぶ違います。
ビニール袋は水を入れたり、汚れ物を入れたり、懐中電灯を入れて光を拡散させたりとマルチに活躍。
懐中電灯は何カ所かに置いたり、持ち歩いたりするので、複数用意しておいた方が良いと思いました。
また、乳児がいたので、お湯を沸かしてミルクを作れるガスコンロ、紙パックの液体ミルクも役立ちました。

非常持ち出し袋の落とし穴と反省
非常持ち出し袋の中身は期限切れのものや実際には使わないものも多く、見直しの必要性を痛感。

でも、リュック一つにまとめておいても、重すぎて持って避難できないとも思いました。
その後は在宅避難を想定し、缶詰やレトルト食品など常温で長期保存できる食料を一定量備蓄するようにしています。
その他常備しておくべきと感じたのは、お茶などのペットボトル飲料。
のどが渇いた時に、水だけではなく味のある飲み物も欲しくなるからです。
それから、ゼリードリンクや栄養ドリンク。
被災時は調理をする気力や食欲がない場合もあるので、手軽にエネルギーを補給できるものがあると良いと思います。

昨年には、車を充電と蓄電機能を備えたプラグインハイブリッドカー(PHEV)に買い替えました。
当時の体験と反省を生かして、定期的に万が一のことを想像してみる習慣が大切だと感じています。
ストックなしでの学び
信太(しだ)朋子さん・凜花(りんか)さん【四街道市】

居住地域を襲った2日半の停電
2019年9月9日、千葉県を襲った台風15号は私たちの暮らす四街道市にも2日半の停電をもたらしました。
雨風がひどかった深夜、こんなに雨が怖いと思ったことはありませんでした。
近くに河川もあったため、氾濫するのではないかという恐怖で眠れなかったことを覚えています。
朝になって、停電以外にも木が倒れたり固定電話が通じなくなったりと、それまでの生活が一変した状況に息をのみました。
大活躍したアウトドア用品と救われた人付き合い
もともと防災意識が高い方ではなかったわが家。
当時はちょうど引っ越しをした直後だったこともあり、非常用ストックはほとんどなし。
日常で使用する箱買いのお水程度でした。
オール電化だったため、太陽光の非常用電源で日中のみ冷蔵庫を稼働、中のものから優先的に食べました。
夜は残暑の中キャンプ用の折り畳みテーブルを外に出し、カセットコンロで湯を沸かしカップ麺を調理。
これからキャンプを始めてみようかという計画で、ちょうど購入したばかりだったこのテーブルがとても役立ちました。
カセットコンロについては、東日本大震災の学びから、両親が買って送ってくれていたものでしたが、本当にあってよかったと思っています。
また、子どもが普段から学校でお付き合いをさせていただいているお友達のお母さんが声を掛けてくれて、近隣の子どもたちも含めてお風呂から夕食までありがたくお世話になり、人付き合いの温かさと大切さを実感しました。

あの日のエピソード
被災疲れのオアシスは温浴施設! 近隣の温浴施設で過ごすつかの間の時間は、家族の良いコミュニケーションの機会にもなりました。
心を支える明かりも大切な備えに
普段から登録していた市のメーリングサービスを通じて、地域の指定避難所が開設されたのは知っていました。
とにかく夜が暑くて眠れなかったため、家族で近くの避難所に涼みに行くことに。
電気が通じて冷房があったのはありがたかったのですが、消灯時間を過ぎると一気に真っ暗に。
慣れない暗がりの中での共同生活に子どもが怖がってしまい、結局自宅へ帰りました。
在宅避難で役立ったのは、こちらも東日本大震災の後に両親からもらった、手動(手巻き)でも充電可能なランタン。
明るいだけでこんなにも心が落ち着くということを知ると同時に、明かりのありがたさを痛感しましたね。
スマートフォンは主要な情報収集ツールに併せて、こんな時には懐中電灯代わりにもなります。
ポータブルバッテリーは一人一台は必要だと思いました。
あと、台風警報が出た時点で車のガソリンは満タンにしておくべきですね。
わが家は、東日本大震災を経験したにも関わらず防災意識が全く足りていませんでした。
非常用ストックがない中での経験を無駄にしないよう、秋の台風シーズンを前に家族で話し合いを大切にしようと思います。

<たくさんの投稿ありがとうございました!>
「あのときコレで救われた!私のリアル防災術」
■ヘッドライトが役立ちました!
懐中電灯を持つと手がふさがってしまうので、手に持たずとも灯りを得られるヘッドライトが重宝しました。/ディルバジル
■浴槽のお水に救われました!
東日本大震災時の断水で、浴槽に溜めた水に救われました。トイレを流したり汚れた手を洗ったりと、清潔を保てました。/ひー様のママ
※6月17日~7月29日に「チイコミ!」で募集した投稿から掲載