訪れた国や地域90以上、海外への旅は213回。

旅行作家の秋山秀一さんが、自身で撮影した写真とともに、世界の街を歩いた思い出をつづります。

秋山秀一さん

秋山秀一さん
旅行作家、元東京成徳大学教授、NHK文化センター講師。日本旅行作家協会顧問理事、日本エッセイスト・クラブ理事、日本外国特派員協会会員。ちばぎん総合研究所発行『マネジメントスクエア』の連載「旅の達人が見た 世界観光事情」他、多数の旅行エッセーを執筆。鎌ケ谷市在住。鎌ケ谷市国際交流協会(KIFA)会長、鎌ケ谷市都市計画審議会会長。
トゥルッリ
トゥルッリのある旧市街の路地

公開 2022/09/24(最終更新 2023/03/09)

編集部

編集部

千葉・埼玉県在住の編集メンバーが、地域に密着して取材・執筆・編集しています。明日が楽しくなる“千葉・茨城情報”をお届けします!!

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円すい形のとんがり屋根トゥルッリの街を歩く

イタリアは国の形が長靴に似ていることから、その位置を示すのに、しばしば長靴の部分の呼び名で例えられる。

アルベロベッロはイタリア南東部、ちょうど長靴のかかとの辺りに位置する人口1万人ほどの街である。

円すい形のとんがり屋根「トゥルッリ」のある旧市街の路地。

建物の白い壁に、スレートを積み上げた円すい形の屋根が載っている。

トゥルッリ

「屋根の上が白いのは新しい建物で、黒いのは古い建物」「白い壁は年に1回塗る」と聞いたことがある。

全て真っ白なトゥルッリもある。

スレート屋根に魚や鳥などの絵や、ギリシャ文字が描かれているものもあった。

トゥルッリ
文字が描かれたスレートの屋根

同じような形の家なので、こうしたデザインに凝ることで、それぞれ個性を発揮しているのだろう。

昼間と異なる顔を見せる路地を楽しむ

路地を歩いていて急に展望の良い所に出ると、その風景にハッとする。

昼間歩いた路地を夜、再び歩く。

夜は昼よりさらに魅力的なのである。

アルベロベッロ
アルベロベッロの夜のまち歩きは楽しい

路地の角、交差する所などに点在する街灯は裸電球。

街灯の光が白い壁を照らす。

黒い屋根は光を吸収し、白い壁は鮮やかに映し出される。

トゥルッリの家の中に入って、驚いた。

扉を開けると、直接部屋だ。壁は厚く、内部は外から見る印象よりかなり広い。

一つの部屋の上に一つの屋根がある。(文・写真/秋山秀一)