訪れた国や地域90以上、海外への旅は213回。
旅行作家の秋山秀一さんが、自身で撮影した写真とともに、世界の街を歩いた思い出をつづります。

公開 2022/09/24(最終更新 2023/03/09)

円すい形のとんがり屋根トゥルッリの街を歩く
イタリアは国の形が長靴に似ていることから、その位置を示すのに、しばしば長靴の部分の呼び名で例えられる。
アルベロベッロはイタリア南東部、ちょうど長靴のかかとの辺りに位置する人口1万人ほどの街である。
円すい形のとんがり屋根「トゥルッリ」のある旧市街の路地。
建物の白い壁に、スレートを積み上げた円すい形の屋根が載っている。
「屋根の上が白いのは新しい建物で、黒いのは古い建物」「白い壁は年に1回塗る」と聞いたことがある。
全て真っ白なトゥルッリもある。
スレート屋根に魚や鳥などの絵や、ギリシャ文字が描かれているものもあった。

同じような形の家なので、こうしたデザインに凝ることで、それぞれ個性を発揮しているのだろう。
昼間と異なる顔を見せる路地を楽しむ
路地を歩いていて急に展望の良い所に出ると、その風景にハッとする。
昼間歩いた路地を夜、再び歩く。
夜は昼よりさらに魅力的なのである。

路地の角、交差する所などに点在する街灯は裸電球。
街灯の光が白い壁を照らす。
黒い屋根は光を吸収し、白い壁は鮮やかに映し出される。
トゥルッリの家の中に入って、驚いた。
扉を開けると、直接部屋だ。壁は厚く、内部は外から見る印象よりかなり広い。
一つの部屋の上に一つの屋根がある。(文・写真/秋山秀一)
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