駅スタンプとは、駅に設置されている記念用のスタンプのことです。
駅ごとに絵柄が異なり、駅のある地域の名所や名産などがデザインされています。
駅スタンプを愛し、収集するコレクターの事を「押し鉄」と呼びます。
その駅スタンプの魅力を、作る側、集める側、双方に聞いてみました。
公開 2022/10/05(最終更新 2022/10/07)

町の特徴が描かれた「駅スタンプ」の魅力と楽しみ方は?
まずは、JR東日本首都圏本部の岡田早百合さんに魅力を聞きました。
――首都圏本部管内では、一昨年7月に「駅のスタンプ」78種を一斉リニューアルしたと伺いましたが、その経緯を教えてください
2003年に江戸をテーマに駅のスタンプを作成してから、約17年という長い年月が経過したため、東京オリンピック・パラリンピックに合わせて、全78駅の駅のスタンプをリニューアルいたしました。
――新デザインの特徴は?
「駅のスタンプとしての新しさ」「オリジナリティ」という点を大切にし、統一感のあるデザインを考案する中で、漢字に複数のシンボルが組み合わさった細かいデザインは「日本らしさ」があり、海外からお越しのお客さまにも楽しんでいただけると思い考えました。
――デザインでこだわった部分は?
駅社員から見たその街の魅力をデザインに取り入れたことです。各駅にシンボルの希望調査を行い、それをもとに漢字との親和性を考えながらデザイナーと作成いたしました。「駅やその地域の代表的なもの(東京駅の丸の内駅舎・上野駅のパンダなど)」、それから「知られていないが、お客さまに知っていただきたいもの(新宿駅の内藤とうがらしなど)」、そして「駅や地域の歴史を表すもの(新橋駅のSL)」など、さまざまな角度で駅の特徴を盛り込んでいます。
――魅力・楽しみ方は?
駅やその地域、街の歴史やシンボルをモチーフとした「駅のスタンプ」を押すことで、お客さまの「旅の思い出」の一つとして形に残るという点が、駅のスタンプの魅力だと思います。お出掛けの記録として駅のスタンプ集めをお楽しみいただくのはもちろん、「今度はこの街(駅)に行ってみよう」と、訪れたことのない街に出向くきっかけとしてもご活用いただけたらうれしいです。

続いては、「押し鉄」歴45年。今までに集めた駅スタンプの数、なんと1万個超え。駅スタンプコレクションサイト「押し鉄のススメ」(http://nonban.travel.coocan.jp/stamp/)の管理人でもある番頭さんにお伺いしました!
――駅スタンプの魅力とは?
駅スタンプには、その駅がある町の、名所・名物・祭り・ご当地キャラクターなどが描かれており、その町の知らなかった魅力を教えてくれます。旅を始める参考にもなりますし、旅が終わった後スタンプ帳を見返すと、当時のさまざまな思い出が鮮やかによみがえり、旅の記念として残ります。そういった所が魅力だと感じています。
――ご自身で集められた駅スタンプの数を教えてください
数えたことが無いので推定になりますが、これまで45年間で押したスタンプ帳は481冊あり、一冊当たり25個くらい押していますので、単純計算すると11,775枚。1万2千個くらいの様ですね。
――ハマったきっかけは?
今から40年以上前の中学生の頃、友達が旅行した時に押した駅スタンプを見せてくれて、自分も旅行してみたいと思ったのがきっかけです。学生時代に全国を自転車で旅したのですが、その時に訪問した町の駅に寄っては、駅スタンプを集めました。駅スタンプは古くなると10年くらいで新しいデザインに更新されるので、新しいスタンプを押したくなっては出かけて…エンドレスでハマっている状況です。
――駅スタンプがうまく押せません。コツを教えてください
駅で用意しているスタンプ台は、インクが渇いていたりすることがあるので、「押し鉄」の人は、自分でスタンプ台を購入し持参します。これを「マイスタンプ台」と言います。黒と赤のスタンプが多いので、まずはこの2色を用意して行くと良いですね。
――今注目、または狙っている駅スタンプは?
今年2022年は、日本の鉄道開業150周年なので、それを記念して、JRグループがデジタルスタンプラリーを実施しています。これはGPSの位置情報をもとに、その駅を訪問したことを判定し、スマホの中にデジタルスタンプが押せるというもので、駅スタンプの進化形です。全国480駅に設置する計画だそうで、今はこれに注目しています。現在「押し鉄」仲間と手分けをして、集めています。
番頭さんも言っていたデジタルスタンプ収集アプリ「TRAIN TRIP」はコチラ
東京・千葉・埼玉・茨城エリアのおすすめ駅スタンプを紹介!
ちいき新聞の配布エリア内(東京は除く)でおすすめの駅スタンプを岡田さん、番頭さんそれぞれに教えてもらいました。
まずは岡田さんから。今年は鉄道開業150年という記念の年ということで、「鉄道」にまつわるモチーフをデザインに活かしたスタンプを中心にご紹介いただきました。
【新橋駅】
日本の鉄道開業の地である街として、旧新橋停車場駅舎と駅前の広場に展示されているSLをモチーフとしたデザインです。
【東京駅】
日本の玄関口であり重要文化財でもある丸の内駅舎をメインに、駅構内の代表的な待合スペースの「銀の鈴」をモチーフにしたデザインです。
【新松戸駅】
木へんには、駅の特徴である武蔵野線と常磐緩行線の立体交差を、右の部分は、四季折々の草花を見ることができる「21世紀の森と広場」がデザインされています。
【取手駅】
取手市の市鳥であるカワセミと常磐線のイメージアップと沿線自治体の活性化を図ることを目的として地域が連携して取り組んでいる「JOBANアートライン」のパレットと筆をモチーフにしました。
「押し鉄」番頭さんのおすすめをご紹介。
【西船橋駅】
最近、総武線の駅には駅がオリジナルで作成したユニークな駅スタンプが増えています。この西船橋駅のスタンプもその1つです。総武線と武蔵野線が交わる駅なので電車が2種類描かれていて、面白いのは駅員さんが手に野菜を持っている所です。これは船橋の名産小松菜です。
【南越谷駅】
日本三大阿波踊りの1つ「南越谷阿波踊り」を躍動感あふれるデザインで表現しています。コロナで2年間は中止になっていましたが、今年は3年ぶりに開催されて、本当に良かったです。
【土浦駅】
常磐線の土浦駅の駅スタンプには、地域でアピールしたい内容がこれでもかと詰め込まれています。特急ひたちの車両に、筑波山を背景に霞ケ浦でサイクリングする人、帆掛け船、花火大会にレンコンまで描き込まれています。町を盛り上げたいという、作り手側の熱意が感じられます。