正安2(1300)年に創建された、緑の森に囲まれ赤い柱が鮮やかな慈雲山正安寺で秘仏が開帳されます。

眼病四百四病が治ると信仰されてきた「寅薬師如来」が拝観できる12年に1度だけのチャンスです。

【守谷市指定文化財】正安寺の寅薬師如来。12年に1度、寅年にご開帳
開帳の準備をする住職の豊谷如秀さん

公開 2022/10/09(最終更新 2022/10/05)

ちいき新聞ライター

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寅薬師如来の霊験 家康とのつながり

野木崎地区西端の高台に位置する正安寺。

本堂からは利根川河川敷へ続く田園風景の絶景が広がります。

正安寺のご本尊は阿弥陀如来。

明治維新後廃されたお寺「瑠璃光山医王寺」の本尊「寅薬師如来」(ヒノキ一木割矧造り座像・室町時代の作)が正安寺に合祀されました。

寅薬師如来の霊験により、眼病が治ると昔から信仰され「瑠璃水」という目薬を正安寺で施薬されていたとのこと(薬事法改正により現在は製薬していません)。

正安寺には徳川家康の逸話が伝わっており、家光からは正安寺に朱印状が出されています。

家康が生まれたのは旧暦12月26日壬寅年の寅の月寅の刻。

その時、母の於大の方が願掛けをしていた三河国のお寺の「寅童子」の像が消えたので家康は寅童子の化身だといわれるようになったとのこと。

寅童子とは、寅薬師如来の家来である十二神将のうち、東北である寅の方角を司る真達羅大将のことをいいます。

【守谷市指定文化財】正安寺の寅薬師如来。12年に1度、寅年にご開帳
新緑に映える赤い柱の本堂

守谷で最も栄えた野木崎

舟運が栄え、利根川が交通の要所だった明治初期ごろまで野木崎には下川岸という船着場がありました。

河岸の周辺には食品問屋、茶屋などが立ち並び、守谷で最も栄えた時代でした。

この地区に多い「屋号」からそれをしのぶことができます。

第二次大戦以前まで正安寺には舟で利根川を渡り、近隣地区から大勢の人が参拝に訪れました。

参道では競馬も開かれ、寺が娯楽の中心でもありました。

本堂の壁にはたくさんの古い絵馬がかけられています。

寅薬師如来の霊験で眼病や心の病が治ったという信者から奉納されたものです。

【守谷市指定文化財】正安寺の寅薬師如来。12年に1度、寅年にご開帳
信徒から奉納された絵馬。「め」の字が多い

寺は歴史の宝庫。

参拝は守谷の歴史に触れる機会にもなるでしょう。(取材・執筆/房)

【守谷市指定文化財】正安寺の寅薬師如来。12年に1度、寅年にご開帳
たけば香りに癒やされる線香とお札

正安寺の寅薬師如来ご開帳
日時/10月10日(月) 午前10時~午後3時
場所/正安寺本堂
住所/茨城県守谷市野木崎1301
料金/無料
※燈明料(2,000円)を納めた人は寅薬師如来のお札と特製の線香が受け取れます
問い合わせ/0297-48-0487 西安寺住職 豊谷如秀