「本日のおすすめはどうやって決めているの?」「冬に食べたいネタは?」…。
外食で人気のお寿司にまつわる気になるあれこれを、グルメ寿司チェーンの店長に聞きました。
お話を聞いたのは…

公開 2022/11/30(最終更新 2022/11/29)

目次
明日もあるとは限らない本日のおすすめ
銚子丸の各店舗には、午前9時までに、当日提供するネタが到着。
銚子港に限らず、日本各地や広く海外からも仕入れています。
魚介類の仕入れは3人の社員が担当。
彼らは全国を回り、各地の漁港や市場の仲買人、提携先と「目線合わせ」= 欲しいネタの種類、量や品質、仕入れ値の提示といった打ち合わせ…をあらかじめしておきます。
目線合わせの内容に沿って、毎日の注文はリモートで行っています。
仕入先の方から「こんな良い魚が入ったよ」と情報が来ることも。
全店舗に行き渡る量が確保できなくても、良いものなら即仕入れるのが銚子丸のこだわり。
店舗ごとに「本日のおすすめ」が異なっていたり、同じ魚でも産地が違ったりすることがあるのはそのためです。
常連さんともなると、日によって異なるいろいろな産地の旬のネタを楽しむ方も多いですね。
「おすすめ」には旬のネタが出てくるので、注文に迷ったらチェックしてみてください。

冬場は特に旬を迎える魚の種類が多いので、選びがいがあります。
その日その店舗で出合ったネタとの一期一会を、ぜひ味わってみてください。
見掛けたら即注文したい!冬に食べてほしいネタ
寒ひらめ、寒ぶり、ほっき貝、白子などがおすすめ。
特に脂の乗った寒ぶりの砂ずり(おなかの部分)はこの時季ならでは。
これらのネタが常に店頭にあるとは限らないので、出合いを大切に!
お得感がある商品は?
いろいろなネタを試してみたい時に最適なのがセットメニュー。
銚子丸でも人気で、メニュー改定時にセットを増やしました。
※銚子丸のセット商品例(価格は全て税込726円)
店長の個人的なおすすめ
海苔に海苔?と半信半疑の人にぜひ味わってほしい自信作!

立派なマダイが寿司とあら汁になるまで
取材中、実際に生魚から寿司になるまでの過程を店長に見せてもらいました。
目の前でおろしてくれたのは「みやび鯛」というブランド魚!

厨房で手際よくさばいていきます。
あっという間に寿司用の切り身になりました。
これがお寿司になります。

アラも無駄なく使います。
鯛のアラが大好評のあら汁に変身!
あら汁は平日(月~金)、開店から午後2時まで無料。
おかわり自由です(日・祝・年末年始を除く)。
あら汁の魚は日ごとに違うので、何が使われているか想像しながら味わってみては?
時代とともに人気の寿司ネタは変わってきている!
銚子丸が創業した昭和52年当時はサンマ、イワシ、アジ、サバなどの光物を食べる人が多かったのですが、水揚げ量減少の影響もあり注文数が減りました。
代わって人気ナンバーワンの座に就いたのがマグロです。
その座を脅かす人気商品に成長したのが、15年前から日本での扱いが始まったノルウェー産オーロラサーモン。
現在、マグロと1、2を争う人気ネタになっています。

その他、元々江戸前のネタになかったカキ、銀タラ、サメカレイ、ハモなどが寿司ネタとし
て使われるようになってきました。
海の変化が寿司の世界にも大きな影響を及ぼす
自然環境の影響や近隣国での魚需要の増加で、日本の水揚げは減少を続けています。
今年の不漁が報じられていたサンマですが、実は約10年前から漁獲量が不安定になっており、それまで毎年秋に実施していたサンマの月間イベントがなくなりました。
同様にイベントがなくなったものに、北海道から空輸して夏に提供していた真いかがあります。
これは生息する海域が変わって北海道で取る量が安定しなくなったことがその理由。
漁獲量の減少だけでなく、温暖化の影響で取れる魚介類の種類が変わってきたのです。
逆に今、北海道でたくさん取れている魚がブリ。
本来はもう少し南の海域にすむ、九州や関西で人気の高い魚ですが、近年、北海道で取れるようになりました。
函館では、急にたくさん取れるようになったブリを活用するため、「函館ブリリアントアクション」というプロジェクトを立ち上げ、ブランド化を図っています。
銚子丸でもこれに協力し、木場店で1週間だけ、数量限定の「函館ブリたれカツ」を提供したことがありました。

海の豊かさを守るために…銚子丸の取り組み
このような変化を目の当たりにし、海や魚食文化の将来が危ぶまれる中、銚子丸ではさまざまな取り組みを行っています。
さばけるプロジェクト
日本財団と政府が推進する「海と日本プロジェクト」の一環として行われた魚食促進・海洋環境保護のイベント 「海のごちそうフェスティバル」(江東区有明ガーデンで開催)。
そのオープニングイベントとして、2022年10 月8 日・9 日に「日本さばける塾×すし銚子丸」を実施しました。
延べ39人の小学生が参加し、海のについてスライドで学習。
職人を模した白衣に着替え、プロの板前さんの手さばきを見学した後、自らもアジの三枚おろし、寿司を握る体験をしました。
イベントの後、魚屋さんに直行してアジを買い、自分でさばいて寿司を握って90歳のひいおばあちゃんにふるまったお子さんもいたそうです。
魚イコール切り身のイメージで、本当の魚の姿を知らない子もいる今。
魚食文化を守り育て、海洋環境の保護意識を高めたいと考え、こういった取り組みに協力しています。
正しい生産者を選んで仕入れる
海の環境を損なう要因の一つに、違法な操業があります。
IUU漁業 (Illegal, Unreported and Unregulated漁業)と言われるもので、密漁や漁獲量の不正確な報告など海洋資源のコントロールを無視したIUU漁業が、海の豊かさを守る上で問題視されています。
このような魚を扱うことなく、海洋環境を考えた正規の漁業の範囲内で商売していくことで、間接的に海の豊かさを守っていきたいと思っています。
養殖の活用
養殖魚より天然ものの方が価値が高い…そう思っている人は多いと思います。
でも、養殖でも優れた品質のものがあります。
そういう魚を仕入れることで、消費者に「養殖も悪くないね」と思ってもらえれば、限りある海洋資源を大事に使うことにつながると思っています。
先ほどさばいた「みやび鯛」は養殖魚ですが、天然ものに引けを取らないおいしさですよ。
寿司を生業とする会社の社会的責任として、海の環境を守りながら、おいしい魚を提供し続けていきたいと思います。
銚子丸ホームページ https://www.choushimaru.co.jp/