冬は魚が一段とおいしい季節。

「釣るのも食べるのも全部好き」な16歳のお魚博士は、「未利用魚」の大きな可能性に注目しています。

お話を聞いたのは…

原田 泰希さん

原田 泰希(はらだ たいき)さん
2006年生まれ。「天才魚キッズ」「マイナーお魚博士ちゃん」などでTV出演多数。「海が近いから」と高校を選ぶほどのお魚好き。将来の夢は水族館の調査係

 

公開 2022/11/30(最終更新 2022/11/29)

編集部

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千葉・埼玉県在住の編集メンバーが、地域に密着して取材・執筆・編集しています。明日が楽しくなる“千葉・茨城情報”をお届けします!!

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知らない魚ももっと食べてみたい!

原田泰希さんは物心つく「前」から魚が大好き。

母親の恵都子さんは「1歳の時に初めて水族館に連れて行ったら、もう最初の水槽の前から全然動かなくて…。動物園や公園に行くとすぐに飽きて帰りたがるのに、水族館に連れて行くと大はしゃぎなので、何度も行くようになりました」と、当時を振り返ります。

しかもイルカショーなどには全く興味を示さなかったそう。「いまも興味はないですね、哺乳類だし」と徹底しています。

小学3年生の自由研究でアジを解剖したのをきっかけに食べることにも興味を持ち始め、スーパーで売っているメジャーな魚を片っ端から食べていった泰希さん。「次は、知らない魚ももっと食べてみたい」と市場や漁港に出掛けるようになりました。

9歳のころの原田泰希さん
9歳のころの泰希さん

「マイナーお魚博士ちゃん」としてテレビに出演した泰希さんですが、「僕はメジャーな魚もマイナーな魚もぜんぶ好きなんです。だから、マイナーな魚もメジャーな魚と同じように食べたいと思って。初めて市場に連れて行ってもらったとき、今まで水族館で見ていた魚、近場のスーパーにはなかった魚がたくさん売られているのを見て、『見るだけだと思っていたあの魚も売っている…食べられるんだ!』と知ったことが大きかったと思います」

基本的にまずは生で食べてみるのがモットーで、大きい魚なら刺身で食べ、焼いて食べ、揚げて食べ、最後に骨を煮て食べて、と余すことなく食べ尽くします。

「千葉県内の道の駅や漁港も、都内では買えない魚がいっぱい売っているのでよく連れて行ってもらいました。『渚の駅たてやま』は目の前が海だし、さかなクンのギャラリーや水槽もあって、とても楽しかったです。保田漁港では、売りモノにならないと除けられていたクズ魚、僕にとっては宝の山ですが、それをたくさんもらったこともありました」

水族館で見て、市場で探して、一尾丸ごと買って、じっくり観察して、さばいて食べる。

観察するときは口の中や歯並びを見たり、ひれを広げて数えて写真に撮って…。

生態や特徴は本やネットで調べて、何度も通う博物館で仲良くなった学芸員さんにもどんどん質問して教わっているそうです。

デジカメのフォルダが魚の写真で満杯になっても「見たいから絶対消さない」ため、恵都子さんがフォトアルバムを作って保存しています。

これまで撮ってきた魚の写真は、文庫本サイズのフォトアルバムにして全部保存しています

未利用魚のおいしさ よく知って活用を

釣るのも大好きな泰希さん。

いま通っている高校も「海や川に近いところなら、帰りに釣りができるかも」というのが志望理由だとか。

「もっと新しい魚に出合いたい」とダイビングの免許はすでに取得済み。

船舶免許の取得も目指しつつ、将来の夢は「葛西臨海水族園の調査係」。世界中の魚を調査して集める仕事です。

「いつも魚に触れていたいから」というだけでなく、多くの人にいろいろな魚の素晴らしさを伝えたい、そして海の問題や食の問題を解決したいと願っています。

「マイナーな魚、未利用魚はおいしくないわけじゃなくて知られていないだけ。マグロ、サンマ、イカなどのメジャーな魚の漁獲量が減ってきている中で、未利用魚がもっと注目されるといいな」と泰希さん。

例えばスマガツオという魚は漁獲量が少なく、その味の良さから現地で即消費されてしまうため、全国的にはあまり知られていない「マイナー魚」でしたが、近年、愛媛県で養殖に成功。

「マグロの脂とカツオのさっぱり感のいいとこどりの味わいが絶品。これからどんどん広まると思います」とのこと。

愛媛県のスマガツオの養殖場で。スマガツオを手にうれしそうな泰希さん

スマガツオの刺身。「1位2位を争うおいしさ」だとか…!

冬は深海魚の漁も解禁され、市場に出回る魚の種類も増えます。

「珍しい魚にたくさん出合えるチャンスなので、市場や漁港に出掛けてみては。特に魚が苦手とか、子どもの頃においしくない魚を食べてその印象を引きずっている人には、釣れたての新鮮な魚を一度食べてみてほしいです」と泰希さん。

調理担当の母・恵都子さんは「『魚の調理は面倒』『内臓の処理が苦手』という人も多いと思いますが、いまは殆どのスーパーの鮮魚コーナーで下ごしらえをしてもらえるので、意外と楽ちんですよ。塩を振ってグリルに放り込むか、迷ったら揚げちゃえば大体OK!」とアドバイスしてくれました。

そして、泰希さんは断言します。

「おいしくない魚なんてありません!」

「全ておいしい魚です」「魚と共に生きる」この2作品に泰希さんのすべてが表現されています
インテリアとしてもおしゃれな泰希さんのお魚コレクション

原田泰希さんの推し魚を紹介します

かわいさNo.1 クラカケトラギス

クラカケトラギス
クラカケトラギス

昔から一番好きな魚です。正面から見た顔がかわいいでしょ!

釣れても捨てられることが多いんですが、味はハゼに似ておいしい。

練り物の材料などに使われることもあります。

おいしさNo.1 カゴカキダイ 

塩焼きしたカゴカキダイ

千葉県沖でけっこう釣れる魚です。

脂が豊富なので、グリルで塩焼きにするだけで鱗がパリパリになって、おいしいんです。

先述のスマガツオもお刺身が絶品。甲乙つけがたいです~!

深海魚No.1 アカグツ

アカグツ
アカグツ

全身トゲトゲで食べられるところはほんの少しですが、煮つけがとてもおいしかった。

顔もかわいい。

冬は深海魚のシーズン。楽しい季節です♪