歯切れよく食べやすいソフトフランスパンに、自家製ハムやなます・香草を挟んだベトナム風サンドイッチ「バインミー」をはじめ、ランチプレートやケーキも人気のカフェ・キナリ。
船橋市で長年カフェを経営してきた松崎有加さんが、キッチンカーでの移動販売を経て2022年9月、高根木戸駅近くに待望のカフェをオープンしました。
気さくで朗らかな店主の人柄をそのまま表す居心地の良いカフェをご紹介します。
※記事中の価格は全て税込み
公開 2022/12/05(最終更新 2024/02/29)

人気のキッチンカーからカフェに。誕生秘話
新京成線「高根木戸駅」から、お隣の「高根公団駅」方向へ歩くこと約3分。
昔ながらの商店や喫茶店が軒を連ねる中、右手に「cafe Kinari」の看板と外階段が見えてきました。
階段の下ではナチュラルな風合いの看板が出迎えてくれます。
ドアは鮮やかなブルー。
海のそばで生まれ育ち、サーフィンが好きだったという店主が選んで塗ったそうです。
店主の松崎有加さん。
船橋市内のカフェを14年間にわたって経営したのち、育児に専念するため閉店。
「子育てをしながらカフェを営むのはそれはもう大変なことでいったんお休みしましたが、まだまだ続けたい気持ち、夢に向かって何かしなきゃ!という気持ちは持ち続けていました」と笑顔で当時を振り返ります。
そして、末っ子の大学卒業と就職を機に、キッチンカーを利用した移動販売に着手。
その1年後の今年9月には店舗を構え、新しくカフェをオープンすることになるのです。

大きな窓から日の光が差し込む店内は明るく開放的。
ニコニコと朗らかな松崎さんの人柄がよく表れているように感じます。
実は、松崎さんがこの店舗と出合ったのは、キッチンカーのお客さまのひとり、島田千晴さんの何げないひとことがきっかけでした。

その年の4月、同じ建物の1階部分にライフスタイルショップ「ILOe(イロエ)」をオープンしたばかりの島田さん。
「島田さんから、お店は持たないんですか?って聞かれたんです。キッチンカーを営業しながらもずっと物件は探しているけれどなかなか巡り合えなくて、と話すと、私のお店の2階が空いていますよ、と教えていただいて」
松崎さんはその日のうちに「空き店舗」を訪れ、内見し、即決したと言います。
「島田さんのあのひとことがなかったら、このカフェは存在していなかったと思います。良いご縁がつながっているなぁと感じます」
未経験ながら自ら天井や壁にしっくいを塗り、自分の思い描くイメージに仕上げるべく大工さんと話し合って進めてきた内装工事。
約10坪の店内には、カウンターに3席、2人掛けのテーブルが6卓並びます。
カフェ・キナリの看板メニュー「バインミー」との出合い
異文化研究会に所属する松崎さんは、ある時「世界の料理を食べ尽くそう」という企画でベトナムのサンドイッチ「バインミー」を食べることに。
「おいしい!と感激したんです」
目をキラキラさせてそう話す松崎さんは、その時以来「いつかまた自分のお店を持ったらバインミーを出したい」と考えるようになったと言います。

「バインミー」とは、ベトナム語で「パン」を意味しますが、肉や甘酢漬け野菜・香草をフランスパンに挟むサンドイッチのことを指すようになったそう。
かつてフランス領だったベトナムでは、パンといえばフランスパン。
バインミーは、国民食と言われるほどポピュラーな食べ物なのだとか。
松崎さんは、バインミーのお店があると聞いては出かけていき、いろいろなバインミーを味わう中で、自分なりのこだわりが生まれていったと話します。
「食材と一緒にうまく噛み切れるパンがいいなと思うようになり、納得のいくパンを探しました」
そして出合ったのが、現在カフェで提供しているソフトフランスパン。

軽く焦げ目をつけた外側はパリッと香ばしく、パン自体はふんわり軽い口当たりです。
硬すぎずやわらかすぎず、具材を引き立てるシンプルな風味がいい!
もちろん、歯切れの良さは抜群で、最後の一口まで具材とパンを一緒に味わうことができます。
写真の「五香の豚つくねバインミー」は、カフェ・キナリの看板メニュー。
混合香辛料の「五香」で風味付けした豚つくねをメインに、大根とにんじんのなます・パクチーを挟んだエスニックなサンドイッチです。
存在感のあるつくねに、みずみずしい食感の甘酢野菜、そして鼻を抜ける香草のほろ苦くさわやかな香り!
異文化の味ながら、日本人にも食べやすくバランス良くまとまっていて、舌が飽きません。
また、原材料はシンプルになるべく添加物が入っていないものを、というのも松崎さんのこだわりのひとつ。
「バインミーは、主食のパン・野菜・お肉のタンパク質とすべてが入って栄養バランスも良いでしょう?」と、健康を気遣うお母さんの顔をのぞかせます。
多世代が支持する人気メニュー
「カフェ・キナリ」では、バインミーの他にサンドイッチやエスニック風のランチプレートもあり、人気を集めています。

お客さまからのリクエストでメニューに加えたという、あんバターサンド。
北海道産の大納言をきび糖でふっくらと炊き上げた自家製あんは、甘すぎず優しい味わい。
バターの塩気と相まって、奥行きのあるじっくりとかみしめたいおいしさです。

チリコンカンのランチプレートです。
チリコンカンは、肉や豆・トマトを煮込んだアメリカの郷土料理。
起源はメキシコ料理といわれており、スパイスが効いて辛いイメージがありますが、カフェ・キナリのチリコンカンは食べやすいマイルドな味わいに仕上がっています。
野菜もたっぷり、丁寧に調理された煮込み料理もぜひ味わってみてくださいね。

キッチンカー時代から人気のチキンサンド。
自家製の鶏ハム・にんじんラペ・紫キャベツにきゅうり、そしてオリジナルドレッシングはピリッとスパイシーで滋味深い味わいです。
野菜の彩りに見栄えも楽しめるサンドイッチは、からだに良いものを食べているなぁと感じられる逸品。
やわらかくあっさりとした鶏ハムは、北習志野駅前で古くから精肉販売を営む「鳥吉」で仕入れた鶏肉から作っています。
「鳥吉さんの鶏肉料理をいただいた時、こんなにおいしい鶏肉があるんだ!と感動したんです。キナリで提供するお肉類はすべて鳥吉さんから仕入れています」と松崎さん。
コーヒー豆や紅茶の仕入れも地域の専門店を利用、「できるだけ地産地消に取り組みたい」と熱心に話します。
地域住民の憩いの場であり続けたい
取材中、「地域の方を大事にしたい」と何度も口にした松崎さん。
現在の場所にお店を構える決め手となったのは、それまでキッチンカーを出店していた場所に近いという点も大きかったと言います。
「20代から80代まで、幅広い年代のお客さまがこれまでと変わらず来てくださるのは本当にありがたいこと」と笑顔を見せます。
地域の方が気軽に集い、くつろげる場所としてこれからも末永く続けていきたい、と真摯に話してくれました。
どこか懐かしさの残る高根台のまちで、久しぶりに訪れる親戚の家のように温かく迎えてくれる、居心地の良いカフェ。
厳選素材を丁寧に仕上げた本格的な味をカフェ・キナリで味わってみてはいかがでしょう。
サンドイッチ類はテイクアウトもできますよ。
Cafe Kinari
住所/千葉県船橋市高根台6-2-21
営業時間/月曜日~金曜日11時~16時
第2・第4日曜日11時~14時
※日曜日はテイクアウトのみ
定休日/土曜日、第2・第4以外の日曜日
駐車場/なし
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