「アートキャンプ白州」は、かつて山梨県白州町(現・北杜市)で20年以上にわたり開催された
祭り。

その集大成となる企画展が市原湖畔美術館で開催中です。

〈白州〉が市原湖畔美術館にやって来た
タイトルと名和晃平さん作「Orbit-M(Tarnscape)」2022年。田中泯さんの後ろ姿の作品

公開 2022/12/08(最終更新 2022/12/01)

ちいき新聞ライター

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「芸能と工作」の実験場としての〈白州〉

1985年、舞踊家の田中泯さんは白州町に移り住みました。

新しい文化と生き方を探り、世代、ジャンルを超えた人々が集まり「芸能と工作」の実験場を目指して1988年に「白州・夏・フェスティバル」を開催。

〈白州〉が市原湖畔美術館にやって来た
展示室の壁一面に展示された剣持和夫さん作のドローイングなど

4日限りのお祭りは毎夏1992年まで続き、その翌年から、約2カ月にわたる「アートキャンプ白州」として引き継がれました。

2001年には「ダンス白州」と形を変えながら、1988年の初開催から20年以上にわたって展開。

2009年を最後にその祭りは「伝説」となりました。

〈白州〉を照射する試み

市原湖畔美術館では今回の展覧会に「試展」というタイトルを付けています。

それは、伝説とまでいわれている〈白州〉の膨大な資料、写真、映像、出版物、ポスターやガイドブックなどのアーカイブを展示、また、美術プロジェクトに参加した美術家たちのトリビュート作品などを通して当時の〈白州〉を照射する試み、という意味からこう名付けられました。

〈白州〉が市原湖畔美術館にやって来た
高山登さん作「遊殺」1969年(1985年再作成)

田中泯さんはアートキャンプ白州について「残す必要はない」と言います。

続けて「アートキャンプは関係した人々の中にいまだ生き続けている」とも。

今回の展覧会開催にゲストキュレーターとして呼ばれた彫刻家の名和晃平さんは、当時ボランティアとして関わった、田中泯さんの言う関係者の一人です。

〈白州〉が市原湖畔美術館にやって来た
名和晃平さん作「PixCell-Black Rooster」2022年

展覧会では、過去の作品のアーカイブだけでなく名和さんと同世代のアーティストの作品も展示したらどうかという話になり、名和さんが思う「白州らしい」アーティストにも声を掛けました。

過去のアーカイブと現在の作品が入り交じった、混沌とした展覧会。

その混沌とした感じこそ〈白州〉が持つ魅力です。

〈白州〉が市原湖畔美術館にやって来た
原口典之さん作「オイルプール」2009年。白州ではかなわなかったオイルを使った作品を美術館で実現

当時を知らない世代も感じ取れるものがあるはず。

ゆっくりと時間をかけて鑑賞してはいかがでしょうか。

(取材・執筆/案山子)

会期/~2023年1月15日(日)
開館時間/(平日)10:00~17:00(土・祝前日)9:30~19:00(日・祝日)9:30~18:00
会場/市原湖畔美術館
住所/千葉県市原市不入75-1
休館日/月曜(祝日の場合は翌平日)

問い合わせ
電話番号/0436-98-1525 市原湖畔美術館
ホームページ/https://lsm-ichihara.jp/