面白さや遊び心で選んでいるようでいて、真面目に疑問に取り組む人も高く評価するイグ・ノーベル賞。
今年は千葉工業大学教授・松崎元さんが受賞し、ニュースをにぎわせました。
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公開 2022/12/22(最終更新 2022/12/21)

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東京生まれ。月の出ている日は必ず見つけて写真に撮りブログにアップする月大好き人間です。果物を食べながら、「この果物はどうやって生まれてきたのかな?」とすぐ考えるタイプ。ちなみにプロフィール写真は、以前記事作成のために撮影した栗の赤ちゃんです。
記事一覧へつまみを回す人の指の本数や位置を検証

イグ・ノーベル賞を受賞したのは、20年以上前、松崎さんが千葉工業大学大学院でデザイン工学を学んでいた時の修士論文です。
水道の蛇口を見ていて「形や溝の位置がさまざまだけれど、何本の指を使う想定でデザインしたのかな」と疑問に思い、研究を始めたとのこと。
サイズの違う45本の木製の円柱を、32人の被験者につまんで回してもらい、それを下から動画で録画。
細かくデータを取って分析。
統計学的検証もして「直径10ミリ以下の細い円柱はほぼ2本指で回され、10ミリ以上では2本か3本の指で。さらに太くなると使う指は増えて、90ミリ以上では全員が5本指全てを使用する」と解明しました(図を参照)。

人の無意識の行動を数値で科学的に調べ上げて分かった指とモノの関係の面白さ!
知ると科学の大切さ楽しさが分かります。
「タマネギでなぜ涙が出る」「バナナの皮はなぜ滑る」など身近な疑問に本気で科学的に取り組む人にも光を当てるイグ・ノーベル賞。
笑いだけでないから、30年以上も愛され続けてきたのですね。
あなたのそばにもある?松崎さんの作品
松崎さんは現在、千葉工業大学の教授ですが、工業デザイナーとしても大活躍。
イトーキのオフィスチェア開発や、無印良品と組んだ枕などで、グッドデザイン賞をすでに8回も受賞!
その研究室には、グリップに指を入れる凹みがあるセブンプレミアムの折りたたみ傘、握る指先側と手のひら側の持ち手が別仕立てのかばんなどが並んでいました。

みな、使う人の体の動きに配慮する松崎さんが制作協力したもの。
最近は、平常時に使いながら災害時にも役立つ「フェーズフリー」製品の普及にも力を入れています。
トロフィーも賞金もただの紙製というイグ・ノーベル賞ですが、松崎さんの科学とデザインを両立させた製品やモノづくりの姿勢を広める力になってくれそうです。
紙のトロフィーと賞金のジンバブエドル札
\イグ・ノーベル賞オンライン受賞式の動画はこちら/