訪れた国や地域90以上、海外への旅は215回。
旅行作家の秋山秀一さんが、自身で撮影した写真とともに、世界の街を歩いた思い出をつづります。

公開 2023/01/28(最終更新 2023/03/09)

カテドラルを目印に歩くかつての首都

スペインの古都、トレド。
旧市街の中心に位置するカテドラルは、スペインにあるカトリック教会の総本山。

トレドの町歩きに地図はいらない。
おおよその位置関係を頭に入れておけば十分だ。
道に迷ったと思っても、気にすることはない。
路地を歩いていると、パッとカテドラルが現れ、目印になる。
16世紀半ばに首都がマドリードに移るまで、トレドはこの国の首都だった。
首都がマドリードへ移ってから十数年たった頃、画家エル・グレコがこの町にやって来た。
絵画の中に描かれた中世の町並みを堪能

「エル・グレコの家」の名で親しまれているエル・グレコ美術館2階奥の部屋に、彼が描いた1枚のトレドの絵が展示されている。
描かれているのは、北の方向から見た16世紀当時の町の風景。
中央にカテドラルの塔。
その右手にアルカサス(中世の古城)。
絵の左端中ほどに、タホ川に架かるアルカンタラ橋が描かれている。
現在タホ川の左岸、南側にある展望所に立つと、この絵とは反対側から見た旧市街の風景を眺めることができる。

エル・グレコの絵に描かれているアルカンタラ橋からサン・マルティン橋まで、イスラムの影響が随所に残る旧市街の端から端まで歩いた。
サンタ・クルス美術館で中庭を取り囲む格子天井のある回廊を歩き、エル・グレコの絵も鑑賞した。(文・写真/秋山秀一)
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