これまで任意とされていた相続登記の申請が義務化され、違反すると10万円以下の過料が課されることに。
該当する人は注意が必要です。
取材協力/千葉地方法務局
公開 2023/01/23(最終更新 2023/01/23)

編集部 R
「ちいき新聞」編集部所属の編集。人生の大部分は千葉県在住(時々関西)。おとなしく穏やかに見られがちだが、プロ野球シーズンは黄色、Bリーグ開催中は赤に身を包み、一年中何かしらと戦い続けている。
記事一覧へ九州の面積に匹敵する「所有者不明土地」
このたびの法令改正の背景には「所有者不明土地」―不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地、または所有者が判明しても所在不明で連絡がつかない土地―の存在があります。
これらは公共事業や民間取引の妨げになるなど悪影響を及ぼすため、その解消を目的に、不動産登記のルールが段階的に大きく変わることになりました。
相続登記申請の義務化もその一つです。
申請を簡素化するための制度も新設
基本ルールは次の2つ。
(1)相続(遺言含む)により不動産を取得した相続人は、所有権取得を知った日から3年以内に相続登記を申請すること
(2)遺産分割が成立した際、相続人は遺産分割成立の日から3年以内に登記を申請すること
(1)(2)とも正当な理由なく違反すると10万円以下の過料の適用対象になります。
遺産分割の話し合いには時間と手間がかかりますが、その成立を待たずに(1)の義務を履行したと見なす制度「相続人申告登記」も新設。
相続が開始されたこと、自分が相続人(の一人)であることを申請すれば(1)を履行したと認められます。
相続時だけでなく、住所変更時の登記申請も令和8年4月までに義務化。
登記簿上の所有者が住所などを変更した場合、変更日から2年以内に申請しなければ5万円以下の過料の適用対象になります。
困った!こんな場合は?
親の不動産がどこにあるか分からない
特定の被相続人(亡親など)が登記簿上の所有者として記録されている不動産一覧を、登記官がリスト化し証明する「所有不動産記録証明制度」が新設されます(令和8年4月までに施行)
DV被害を避けるため登記簿上に住所を公開されたくない
被害者保護のための特例として現住所に代わる事項の記載も可能になります(令和6年4月施行)