「日本人の目頭が、ダビデ像などのギリシャ彫刻のようになっているか、鏡で確認してごらん」
小比賀さんには、生徒に必ず話す話があります。
公開 2023/01/21(最終更新 2023/01/18)

欧米人の目頭と日本人の目頭は違う
「仏像を見てみれば分かるように、日本人の目は目頭の部分でまぶたが重なっているんだよ」。
クシャッと笑って、観察する大切さを説きます。

小比賀さんは香川県出身で、香川県立高松工芸高校で彫刻を学びました。
その後上京し、故橋本堅太郎氏の弟子として修業。
これまでに成田山新勝寺にある元参籠堂の不動明王や高根木戸近隣公園の銅像を制作しました。
少年がそのまま大きくなったような人

10代の頃には1950年から始まった日光東照宮の昭和の大修理に、小比賀さんは師匠と一緒に参加。
国宝の修理ということもあり建築界や美術界など各分野の重要無形文化財の保持者(人間国宝)が修理、指導に訪れました。
その姿を間近で見て、憧れと尊敬の思いで緊張したことを今でも覚えている、と興奮気味に語ってくれました。
他には伊勢神宮の仕事も。
20年に1度行われる式年遷宮では、お宮に収められている神宝も全て新調されます。
2013年の式年遷宮の際、小比賀さんは、「神馬」5体の制作に携わりました。
神宝制作に関わることができるのは各分野の名工、名匠たちのみ。
人間国宝をはじめ、それに準ずる技術を持つと認められた人たちです。
小比賀さんは神宝の神馬を彫る前に試作品も含め、延べ3年がかりで制作しました。
小比賀さんの作品を見てみたい人は高根木戸近隣公園で銅像が見られます。
散歩がてら見に行ってみては。 (取材・執筆/福)