印西市や白井市などの中学校で国語教師を務めた、故・宮下豊さん(2020年9月に59歳で逝去)が、「大いなる本の力を知ってもらいたい」と両市の小・中学校へ学校図書の購入費として、計約6千万円を寄付しました。
教諭の温かな思いが、本を通して受け継がれています。
公開 2023/01/23(最終更新 2023/02/03)

ソバ
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記事一覧へ文庫を一部屋に所蔵 本を子どもに薦める
印西市には3700万円が寄付され、小学校18校、中学校9校の図書購入に充てられています。
宮下教諭が亡くなるまで在職していた印旛中学校では、2階にある図書室に、支給された寄付金で購入した本が配架されています。

「宮下文庫」と記されたラベルからは、教諭の思いが伝わってくるようです。
4階の一部屋を「宮下文庫」と命名し、教諭が個人的に寄贈した本の数々が所蔵されています。
国語辞典、美術関係の書籍、絵本や純文学の本、和歌まで内容は多岐にわたります。
生徒は自由に利用でき、貸出カードを活用して借りることもできます。
図書購入費の寄付について宮下教諭は、以下のような手記をまとめています。
「闘病中、数多くの本を読み、その力に救われました」「ある日は病室で、ある日は図書館で、もうむさぼるように本を手にして読みふけりました」と、亡くなる前の闘病生活を振り返ります。
そして、「私たち教師のような、本を選ぶ立場の人間が、実際に目を通し、自信を持って子どもたちに薦められる本を置くということです」と、教師が子どもたちに本を薦める大切さも強調。
「さまざまな種類の本は、児童・生徒の興味にアプローチする内容のものばかりです」と、同中学校の教諭も話します。
学級通信を発行 日々の思いをつづる
小学校9校、中学校5校がある白井市には約2300万円が寄付されました。
宮下教諭は白井中学校在職当時に学級通信を発行し、日々の思いをつづっています。
2017(平成29)年3月8日号では「縁」について以下のように触れています。
「『縁』には不思議な力があります。(中略)強い絆とは違いますが、お互いをつなぎ、お互いを支え合う力が間違いなくそこには存在しています。『縁』にも感謝の気持ちを持って過ごせることを願う」
本を通してつながり続ける宮下教諭との「縁」は、子どもたちの成長の大きな糧になることでしょう。

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