心臓突然死で亡くなる人は年間約7.9万人。
現場でのAED使用と胸骨圧迫(心臓マッサージ)で救命率は4倍以上になると報告されていますが、目撃された心臓突然死のうち、AEDが使われた割合はたったの4.2%です(※)。
そんな状況を変えるべく千葉県を中心に救命処置の講習会などを行うNPO法人ちば救命・AED普及研究会、通称「千葉PUSH」を取材しました。

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公開 2023/01/27(最終更新 2023/01/23)

当たり前にAEDを使える地域にしたい

突然の心停止から救命するためにできることは(1)119番通報、(2)胸骨圧迫、(3)AEDによる電気ショック。
救急車が到着するまでの平均時間は8~9分(※)で、ただ待っていては8.2%の人しか救命できません。
しかし、胸骨圧迫やAEDの使用で救命率は大きく上がります。
そこで、千葉市立海浜病院の本間洋輔医師がNPO法人ちば救命・AED普及研究会、通称「千葉PUSH」を設立。
誰もが当たり前にAEDを使えるまちづくりを目指して活動しています。
※総務省消防庁:令和3年版 救急救助の現況
誰かが倒れた時に声を掛ける勇気を
千葉PUSHが開催する講習会「PUSHコース」では、「胸骨圧迫とAEDの使い方」と「誰かが倒れた時に、声を掛ける勇気」を短時間で分かりやすく学ぶことができます。

昨年11月に「北習志野てわたし図書館」(船橋市)で行われた講習会には、子どもから大人まで15人が参加。
心肺蘇生トレーニングキット「あっぱくんライト」を使い、胸骨圧迫を実践しました。

参加者は「絶え間なく強く押し続けなければならないので想像以上に体力を使う」「周囲の人の協力も仰いで自分のできることをしたい」などと、実際にやってみなければ分からない気付きがあった様子でした。
もしも心肺蘇生をしていれば
講習会の講師を務めた愛波淳子さんは、普段は医師として船橋中央病院に勤務しています。

「私たちの所に運ばれてきた時に『もし現場で心肺蘇生をしていたら…』と思うことが多く、大切なのは救命処置を広めることだと常々考えていたんです」。
そんな時PUSHコースを知り、仕事の傍らボランティアで救命の知識を伝えています。
いざという時のために日頃からできることを尋ねると、「例えば船橋市では公共施設だけでなく、協力を得られた24時間営業のコンビニにもAEDを設置しています。位置情報をまとめているアプリもあるので、どこにどんなAEDがあるのか意識してみてほしい」とのこと。
「目の前で人が倒れた時、怖がったり、無視して通り過ぎたりするのではなく、誰もが行動できる世の中にしたい。子どもたちには具合の悪そうな人がいたら当たり前に声を掛けられる人になってほしいです」と愛波さん。
必要なのは私たち一人一人の心構え。
勇気を持って一歩を踏み出すことで、救われる命がきっとあります。
救命処置の流れと手順を動画で学ぼう
心肺蘇生とAEDによる救命処置の流れと手順を動画にまとめ、YouTubeチャンネル「ちいき新聞TV」にて紹介しています。
病気や事故などの場面に居合わせた時、速やかに対応できるよう、やり方を覚えておきましょう。
監修:NPO法人ちば救命・AED普及研究会
NPO法人ちば救命・AED普及研究会
ホームページ/https://www.chibapush.org/