宇宙船のような不思議な形。
この正体はこんにゃくの原料のこんにゃく芋。
「こんにゃく作りを見に来ませんか?」—NPO法人「しづの里」の津田さんからお誘いを受け、会員向け講習会にお邪魔しました。

公開 2023/01/25(最終更新 2023/01/24)

畑でこんにゃく芋作りから
「しづの里」では、会員が自分の思い出や技術などを持ち寄り、そば打ち、陶芸教室、農業や手芸などを通して昭和の里の暮らしを味わいます。

こんにゃく芋を栽培して30年の津田博徳さんが、母の味を伝えたいとこんにゃく教室を始めて7年。
芋から突き出た突起状の生子を種芋として春に植え、霜が降りる前に掘り出す。
これを4、5年繰り返しやっとこんにゃくが作れます。
こんにゃく作り講習会
この日は11月に収穫した芋を持参。
参加者も一緒に芋を洗い、皮をむき、適当なサイズに切って圧力鍋で蒸します。
蒸し上がったら適量の水と一緒にミキサーでかくはんしペースト状に。
この水加減が固さを決めます。

次に水酸化カルシウムを混ぜるとペーストは途端にプルンとなり感触の変化を楽しめます。
容器に詰め、寝かせる間にランチタイム。
受講は2度目という夫妻は「遊びに来た孫と一緒に家で挑戦したら、ワイワイ楽しかったわ。ちょっと柔らか過ぎたから再挑戦したいの」と話していました。
さて、固まったら切り分け、沸騰したお湯でゆでて出来上がり。
お刺身で出来たてをいただきます。
臭みがなく、歯応え良くつるりとした舌触り。
手作りのポン酢と柚子味噌の上品な香りが口の中に広がります。
佐倉こんにゃくは将軍献上品だった!?
現在こんにゃく生産量日本一を誇るのは群馬県。
しかし、佐倉の歴史ガイドも務める津田さんによれば、江戸時代は「佐倉に名物こんにゃくあり」と言われていたそうです。
堀田正順公から将軍家へ正月の献上品として「こんにゃく」の記録があります。

下総印旛郡佐倉を居城地とする堀田相模守正順の正月の献上品に「蒟蒻」の文字
また、江戸時代の佐倉の様子を記述した『古今佐倉真佐子』には「献上になるは丸くして指渡一尺二寸ほど樽つめにしてあがる」とあります。
昔から整腸作用や便秘解消効果で珍重されたこんにゃくですが、芋は傷みやすく保存が難しいため、江戸に近い佐倉は貴重な生産地だったのでしょう。
(取材・執筆/瑞希)
\津田さんのこんにゃくレシピを特別公開中/
※問い合わせ
TEL/090-2544-9127
津田
TEL/043-376-5738
NPO法人しづの里(月・水 午前9時~午後3時)