世界10の地域で行った大気や水の環境などの現地調査を振り返り、調査概要に合わせて思い出のひとコマを油絵で描いた『紀行画集 風と水に魅せられて』を四街道市在住の中村圭三さんが自費出版しました。

公開 2023/02/01(最終更新 2023/02/03)

ソバ

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大手新聞社の記者を続け、定年延長も終わったので、地域の話題を取材したいと、地域新聞様にお世話になっています。明るく、楽しく、為になる話題を少しでも分りやすく紹介したいとネタ探しの日々です。子どもの頃から麺類が好きなのでペンネームにしました。

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クロアチアの冬の強風の港の荒波を描く

著者は四街道市在住で敬愛大学名誉教授の中村圭三さん。

中村圭三さん
刊行した紀行画集を持つ中村圭三さん

気候学と自然地理学を専攻し、これまでに日本国内はもとより、世界各地を調査旅行してきました。

その中から10カ所の地域を選び、自身が描いた油絵と文章をA4判約50ページの本にまとめたのがこのたび出版された画集。

カタールで昨年開かれたFIFAワールドカップの決勝トーナメント1回戦で日本を破り、3位になったことでも注目されたクロアチアも取り上げられています(当時はユーゴスラビア)。

旧ユーゴスラビアには「ボラ」と呼ばれる局地風の調査で1972年9月から翌年2月まで滞在。

ボラは台風並みに発達して猛威を振るう北寄りの強風です。

気象観測や樹木の曲がり具合から風の向きと強さを知る調査などを行いました。

セニ港に荒波が打ち寄せる様子を描いた絵画は、押し寄せる白波が迫力満点。

北欧のフィヨルド 神秘的なたたずまい

1992年7月には北欧ノルウェーのフィヨルドを訪れました。

U字谷の山肌の残雪、どんよりと立ち込めた雲。

水面にはさざ波が立ちながらも山体を映し出す様子を描いています。

フィヨルドを描いた絵
フィヨルドを描いた絵

1995年、96年、98年には地下水調査でベトナムを訪問。

一面に広がる運河の農民が乗った小舟を描き、現地の様子を伝えています。

 
メコンデルタの運河の絵
メコンデルタの運河の絵

この他、「世界で一番幸せな国」といわれるブータンや、国内では北海道のオホーツク海沿岸の流氷観測などを掲載しています。

本にまとめるために、過去の資料や写真を整理。

スケッチから完成までの絵の制作工程も同書で紹介されています。

油絵は、2018年から画家の宮本和彦さんの指導を受け、ここまでの腕前になりました。

油絵の制作では特に観察力が大事だと強調する中村さん。

「近景、中景、遠景が必要で、色彩や明るさ、質感、表情がそれぞれ違います」と説明します。

四街道市内の公立図書館に寄贈されたので、実際に手に取ってその素晴らしさを味わってはいかがでしょうか。

※問い合わせ
TEL/090-8314-5617
中村