生物学者で千葉県生物学会副会長を務める浅間茂さんはクモの研究を深める一方、手賀沼にも関心を寄せ続けています。

公開 2023/02/02(最終更新 2023/12/15)

koji
柏市在住。四季折々の季節の良さを探し歩いたり、地域の歴史的な名所・史跡を訪れたりするのが好きです。地域活動をいくつかやっています。農園を借りて野菜や花を育てています。Instagram/@koji_koji_39
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浅間茂さんは新潟県生まれ、大学卒業後に一般企業に就職した後、生物学への好奇心から教師へ転身、東葛飾高校や県立千葉高校でも教壇に立ちました。
クモが専門ですが虫や鳥、植物など、研究対象は幅広く、生物の多様性に魅せられてボルネオ島に足しげく通い、訪問歴はなんと69回にも及びます。
浅間さんの研究所を訪れて驚くのが、玄関を開けて左手の棚に並ぶ数十台のカメラです。
しかも普通のカメラではなく、人間などの哺乳類では目に見えない紫外線を撮影できるカメラ。
虫や鳥が見ている世界を表現するためのものです。
紫外線写真を見ると、人には見えない模様や気付きにくい特徴が表れています。
浅間さんの著書『虫や鳥が見ている世界』(中公新書)では、紫外線写真と通常の写真が並べられており、見え方の違いが明瞭です。

その人の目には見えないものが虫や鳥の生存戦略上、重要なものだと示す、紫外線写真には驚きと発見が詰まっています。
さまざまなクモの生態に驚きの連続

近著の『クモの世界』(中公新書)では、網を張って待ち伏せするクモだけでなく、あちこち歩き回って獲物を捕らえるクモ、花の蜜を吸うクモ、投げ縄を放つクモなど、魅力と不思議に満ちたクモの生態がつづられています。
中には、メスにプレゼントをするクモ、花嫁をぐるぐる巻きに縛ったり催眠術をかけたりして交尾に及ぶクモなど、特徴のある生き方をするクモも。
また、浅間さんは手賀沼の生態についても長年調査し、その研究結果も著作として発表しています。