自分で草木染の布を作ったり、世界の染織布や日本の着物地で洋服を作ったり…。
「世界に一つだけのもの」を作る染織作家・永口よう子さん(佐倉市在住)を訪ねました。
公開 2023/02/17(最終更新 2024/02/29)

草木染から手織・手紡ぎへ

35年に及ぶ創作活動。
永口さんの「布」との出合いは1980年代後半、幼稚園のママ友達から習ったパッチワークだったそうです。
パッチワークの布集めをしているうちに自分で草木染をしようと思い立ち、次々に興味の対象を「染」から「織」「紡ぎ」へと広げていきました。
作品もパッチワークからバッグやストール、洋服へと多岐にわたり、それらをデパートやギャラリーで作品展示する多忙な日々でした。
この時期は同時に子育ての時期でもありましたが、日本絹の里主催「第一回座繰り糸による織りの公募展」(群馬県)に応募し、入選しました。

世界で気づいたこと・これからのこと
2008年、末のお子さんも社会人となり子育てを卒業した永口さんは、世界の染織の現場を見て回ります。
米国原住民ナバホ族、ブータン、インドのグジャラート、ラオス、ペルー、東ティモール、インドネシアのヌサ・トゥンガラ諸島など。
各地のそれぞれ異なる個性的な表現と技法を学び、美しく多彩な布を収集しました。あるものは壁やテーブルを飾り、あるものは自身の染織作品と組み合わせて制作し、あるものは自分で多国籍ファッションとして着用したり、の日々を送っています。
永口さんを見ているとまるで「歩く美術館」のようです。

また、布と密接な関係にある人々の風土・文化との関係を写真で伝えようと、写真展の開催や、永口よう子写真集『グジャラート』を出版しました。
「古くなった服を再び布や糸として、大切に使い続ける人々の姿を世界のあちこちで目にしました。布も一つの生命だと思います。その輝く生命に寄り添い、楽しみ、見届けたい。そしてまだまだ世界の遺跡や文化を見て回りたいです」と語る永口さん。
永口さんが生涯を通して追求し続ける作品世界の中に、未来の私たちの新しい暮らしのヒントがあるかもしれません。
