市川市国府台にある聴覚障害者のための「筑波大学附属聴覚特別支援学校」。

同校の専攻科「造形芸術科」では高校卒業後2年間でさまざまな技術を学び、生徒たちの可能性を広げていきます。

【市川市】聾学校で全国唯一の芸術系専攻科!学んで広がる将来の選択肢
筑波大学附属聴覚特別支援学校校舎。まもなく創立150年を迎える歴史ある聾学校です

公開 2023/02/21(最終更新 2023/02/20)

ゆき

ゆき

元々インドア派でしたが、市川市に住み始め街歩きが趣味に。島巡りもしています。がんサバイバーサポート中。医療・介護にも興味あり。ネコとお笑い好き

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多様な内容を学んで広がる将来の選択肢

数々の作品が並ぶ静かな会場で、手指や腕を動かす一人の青年――。

市川市の芳澤ガーデンギャラリーで1月に行われた「第33回卒展」の実行委員長で制作者でもある長谷川雄飛(ゆうと)さん。

【市川市】聾学校で全国唯一の芸術系専攻科!学んで広がる将来の選択肢
長谷川さんの油彩作品「画室」。2023年公募展に出品予定

来場者と笑ったり、うなずいたりしながら手話や筆談で作品解説を行っていました。

油彩、グラフィック、イラストレーション、デッサン、写真と多彩なカリキュラムがある「造形芸術科」。

2年間の授業では美術だけでなく、社会に出た際に身に付けておきたいワードやエクセル、基礎学力として国語や英語も学びます。

【市川市】聾学校で全国唯一の芸術系専攻科!学んで広がる将来の選択肢
ポートフォリオ作成中の長谷川さん(右)と玉生(たまお)教諭

外部機関からの依頼でポスターやパンフレットの制作も行います。

「イメージと違うから変えてほしい」と依頼主から言われることも。

「やり方のタイプが違うので全部の授業が大変だった」と振り返る長谷川さん。

卒業後はより専門的に学ぶため、大学のデザイン学科に進みます。

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長谷川さんの作品「夏は祭!!!#NIIGATA」 イラストレーション。公募展にも積極的に出品しています。(2022年出品作品)
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長谷川さんのデッサン。花札「四季の鳥」

 

同校の卒業生の進路は美術系大学への進学の他、事務職や技術職、印刷会社やメーカーでのデザイナー職などさまざまです。

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卒業生作品。造形芸術科のキャラクター
【市川市】聾学校で全国唯一の芸術系専攻科!学んで広がる将来の選択肢
後輩が描いたイラストを元に制作したポップアップカード。卒業生作品
【市川市】聾学校で全国唯一の芸術系専攻科!学んで広がる将来の選択肢
後輩が描いたイラストを元に制作したポップアップカード。卒業生作品
【市川市】聾学校で全国唯一の芸術系専攻科!学んで広がる将来の選択肢
「詩」の意味や雰囲気に合わせて文字を表現するタイポグラフィ。卒業生作品
【市川市】聾学校で全国唯一の芸術系専攻科!学んで広がる将来の選択肢
後輩が描いたイラストを元に制作したポップアップカード。卒業生作品

共通の思いは「描くことが好き」

美術大学在学中、求人を見つけてから手話を学び始めたという玉生美智子教諭。

「生徒からはいつも刺激をもらっているので、自分の中の物がどんどん増えて広がってゆくのを感じます」と話します。

学校では研修旅行として台湾に出かけ(近年はコロナの影響により中止)、台北の聾学校の生徒たちとの交流を図っています。

国によって動きが異なる手話ですが、台湾とは似通っている部分が多いとのこと。

さらに「描くことが好き」という共通の思いもあり、先生が説明する間もなく、生徒同士で打ち解けているそうです。

生徒たちの作品は3月1日から30日まで、市川駅南口図書館「えきなんギャラリー」で見ることができます。

自由な発想で描かれた作品の数々。

楽しみです。

※問い合わせ
電話番号・FAX/047-371-4507
筑波大学附属聴覚特別支援学校 高等部専攻科 造形芸術科