2017年11月、創作ルームLABORO(ラボロ)は、「試し描きできる画材屋」を備えたレンタルスペースとして誕生しました。
6年目を迎え、オーナーの齊藤さんは以前から構想していた「Re画材」に着手。
不安定な世界情勢や円安の影響を受け、画材が値上がりを続ける中、不要になった絵の具や色鉛筆、紙などの画材、眠っている額縁などを必要としている人へ安価で提供する取り組みを取材しました。
公開 2023/03/10(最終更新 2023/12/25)

創作ルームLABOROってどんなところ?
「北習志野駅」から、エビスきたなら商店街を高根台方面へ歩くこと約7分。

白と青の建物に「創作ルームLABORO」の看板があります。(1階は美容室です)
矢印に従い右手に進むと、
建物の入り口を示してくれます。
階段を上って3階に「創作ルームLABORO」はあります。

LABOROには、たっぷり陽の光が射し込む約20畳のお部屋と、

完全個室としても使用できる約8畳のレンタルスペースがあります。
イラスト、書道、バレエストレッチ、トールペイント、囲碁、プログラミングなど多彩なカルチャー教室が定期開催されており、お花やマンガ交流会などの定期イベント、各種ワークショップも人気を集めています。
LABOROの特長は、美術書や図鑑、イーゼル、ミシンなどの機材が揃っており、創作活動もできるレンタルスペースとして利用できること。

そして、画材販売コーナーにある色鉛筆や絵の具、パステルは、購入する前に試し描きができる点も大きなポイントです。
「文房具を試して買えるように、絵の具や紙も試せる場所が欲しいと思ったのがきっかけです」と、創業に至る経緯を話してくださったのは、オーナーの齊藤さん。
税理士事務所で働いていた齊藤さんは、体調を崩し、休養をとりながらイラスト教室に通っていた時期がありました。
幼少時から絵を描くことが好きで、大学生の頃はパソコンでイラスト作成をしていた齊藤さんですが、「イラスト教室で、画材を使って絵を描くのが楽しかったんです」と、当時を振り返ります。
しかし、「メーカーによって硬さや発色などの特徴が異なり、実際に描いてみないと自分が求めているものかどうか分からないので、購入したけれど合わなくてそのまま…ということが何度もありました」と苦笑い。

画材屋をメインに、レンタルスペースはおまけくらいの気持ちで始めたというLABOROですが、「こんなにたくさん人が集まり、交流してつながって新しいことが始まっている」と齊藤さんが驚きをもって話すように、教室やワークショップの開催に加えて展覧会も盛んに行われ、連日にぎわいを見せています。
「Re画材」を通して、LABOROが目指すこと
自分に合った画材に出合うために自分自身が欲しかった場所「試せる画材屋」を作り、運営してきた齊藤さんが、2023年1月、長い間構想してきたという「Re画材」をスタートしました。

国内生産のものもありますが、オランダやドイツ、フランスといった西洋諸国からの輸入品が多い画材。
国際情勢の変化が及ぼす影響を受け、価格高騰が続いているといいます。
「画材はもともと高価なものが多いですが、さらに値上がりしており、買うのをためらう方もいらっしゃると思います。良いものを少しでもお安く、そして知っている方とやり取りできたらより安心かなと思って始めました」と齊藤さん。
「良いものは、描いていて楽しいんです! 均一ショップのものではなく、ぜひ質の高いものを選んでほしい」と声を弾ませます。
また、以前は展示に使用していたが、今はもうそのサイズの絵は描かないから、と譲っていただくことがあるという額縁。
「額縁も高価ですが、絵の魅力を引き出し際立たせてくれる存在です。ご自宅で眠っているものがあり提供していただけるのであれば、資源の循環になり、世代を超えた交流にもつながると考えています」と話し、これからもLABOROの企画のひとつとして力を入れていきたいと話してくれました。
LABOROの地域活動・子ども食堂の工作に想うこと
「画材を使って絵を描くのを楽しむ人が増えるといいな」と、くり返し話してくれた齊藤さん。
最近は小さな子どももタブレットなどで絵を描いている様子を目にすることが多く、少し気がかりだといいます。
「創作活動は、五感を活用するもの。紙に触れて、絵の具やクレヨンの匂いに包まれて絵を描くとか、はさみの刃は痛いから気を付けようとか…。汚れるのも経験だし、後片付けが面倒なのも勉強のひとつですよね」と、はにかむように優しく笑う齊藤さんは、月に一度開催される地域の子ども食堂に工作キットを提供し、積極的に活動に参加しています。

「みんな夢中で取り組んでくれて、かわいい作品が生まれています。『こんなの初めて!』『楽しかった!』という感想を聞くとうれしいですね」と、齊藤さんも晴れやかな笑顔で話します。
子ども食堂の工作の時間や、LABOROで開催するワークショップ、イベント、教室…運営する上で齊藤さんが一番大切にしたいのは「その時間を楽しむこと」だといいます。

「誰かと一緒に何かを作ったり描いたり。その時間を楽しいと感じられる、そんな空間を提供していきたい」
そう話す齊藤さんの表情は柔和でありながら、しなやかな意思の強さを感じさせました。
また、LABOROの展覧会を訪れたりワークショップに参加したことをきっかけに絵を描き始めたり、創作活動に関わるようになる人もいて、それがとてもうれしいと話してくれました。

異なる民族間の相互理解を目的として考案された国際補助語・エスペラント語で「創作する」を意味するLABORO。
人と人、人とアートをつなぎ、創作をより身近に、より楽しく、創作ルームLABOROはこれからもそんな拠点であり続けます。
創作ルームLABORO
住所/千葉県船橋市習志野台2-13-22 上野新ビルA棟302
営業時間/13時~18時
※10時~13時/18時~21時は、前日正午までの予約で利用可
定休日/木曜日
駐車場/1台
電話番号/047-401-9807
インスタグラム/@laboro.room
HP/https://laboro-room.com/