3月末に少子化による生徒の減少に伴い閉校となる市原市立八幡東中学校。
全校生徒78人で壮大な壁画を描いたその背景を取材しました。

公開 2023/04/17(最終更新 2023/04/11)

閉校に向けてのカウントダウン
市原市立八幡東中学校は1981(昭和56)年に創設。
42年の歴史の中で親子2世代の母校として地元に根付いてきました。
「閉校が提示されてから生徒もPTAも一丸となって残された時間を大切に過ごしてきました」そう話すのは同校のPTA総務役員の仲村さんと城戸さん。
2人とも生徒の保護者であると同時に卒業生。
子どもたちの思い出作りはもちろんのこと、全ての卒業生のために、心温まる閉校記念事業の企画や記念グッズの作製に取り組みました。

PTA活動の一環で実施した在校生と保護者に向けたアンケートの中で「閉校までにやりたいこと」として挙げられた一つに、今回のトンネル壁画制作がありました。
PTAはこの実現に向けて奮闘。
高速道路等美化促進事業助成金を活用し、東日本高速道路株式会社所有の館山自動車道高架下(菊間第二橋橋台)に縦2.5m×横25mの大きなキャンバスを確保しました。
母校への思いを壁画に中に閉じ込めよう
壁画制作は美術科教諭の渡辺和代さんが中心になって進めました。
「未来へ 〜四十二年の集大成〜」というスローガンをイメージし有志生徒が描いた5点の水彩画にあった「青空」「虹」「飛び立つ鳥」をモチーフに採用。
また、全校生徒から希望の多かった「校舎」「校内の植物」など身近な思い出も描かれています。
壁画の中で元気に両手を広げているのは、2013年に誕生してから八幡東中のイメージキャラクターとして愛されてきた「やーひがしくん」。
全てが大切な宝物です。

みんなの思いがここに集まっている
壁画制作作業は昨年12月初旬から、1・2年生は放課後に3年生は主に美術の時間中心に行ったそう。
「ここ難しいね。ここは上手にできたね!」と完成を楽しみに作業を続けたと言います。
2月2日の完成報告会では全校生徒で記念撮影も。

完成した壁画を前に生徒たちは満足そうな笑顔を浮かべていました。
「見た人に八幡東中を懐かしんでもらいたい」という一心で寒い季節に作業した日々。
壁画制作に携わった一日一日が心に残る思い出となり、壁画を見るたびに母校を思い出すことでしょう。(取材・執筆/杏)