『大人の女史会』のメンバーとして、50代からの人生を美しく、健やかに、幸せに過ごすため、更年期にまつわるさまざまな情報を発信しているタレントの渡辺満里奈さん。
年を重ねることの変化やその受け止め方について、お話を伺いました。

■『大人の女史会』
同じ事務所に所属する5歳違いの個性豊かな3人(野宮真貴さん/松本孝美さん/渡辺満里奈さん)による「美しく・健やか・幸せ」になるためのプロジェクト。合言葉は≪50代からの人生を楽しもう!≫。『週刊文春WOMAN』にて「『大人の女史会』にようこそ。」好評連載中。

 

渡辺満里奈
1970年11月18日生まれ・東京都出身。1986年 CX「夕やけニャンニャン(おニャン子クラブ会員番号36番)」で芸能活動開始。同年10月8日 「深呼吸して」(EPIC・ソニー)でソロデビュー。おニャン子クラブ解散後は清潔感あふれる明るいキャラクターを活かし、テレビ・CM・雑誌などで活躍。台湾やピラティスをいち早く紹介するなど女性からも注目される。食や手芸を題材にしたナチュラルなライフスタイルを綴る書籍の評価も高い。2005年 お笑いトリオ「ネプチューン」の名倉潤氏と結婚、2007年・長男出産、2010年・長女出産し現在2児の母。

 

更年期とは?

閉経前後10年、主に40代後半から50代前半の期間のこと。女性ホルモンの分泌量が減ることによりさまざまな症状が現れますが、時期や症状には個人差があり、日常生活がままならないほどの重度の症状を「更年期障害」と呼びます。

公開 2023/05/24(最終更新 2023/05/23)

編集部 モティ

編集部 モティ

編集/ライター。千葉市生まれ、千葉市在住。甘い物とパンと漫画が大好き。土偶を愛でてます。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。★Twitter★ https://twitter.com/NHeRl8rwLT1PRLB

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体や心の変化も気持ちを切り替えて

――年を重ねたことで、ご自身の気持ちや体に変化は感じますか?

『大人の女史会』を発足した当時はあまり自覚症状がなかったのですが、ここ2年ほどで「もしかして更年期特有の症状かな」と感じることが増えました。例えば、鏡を見て「若い時とは肌の感じが全然違う」とか、そういうちょっとしたことで気持ちが沈んでしまうんです。

あとはやはり睡眠。もともと私はすごく寝つきがいいタイプなのですが、最近はなかなか眠れない時があります。そういった小さな変化が少しずつですが日々現れてきていますね。

逆に年を重ねて良い面もあります。例えば、経験を積んだ分、若い頃と考え方が変わってきて興味の対象がこれまでと変わったり、深く掘り下げて考えるようになったり…。物事についての理解をより深められることで、自分の心も豊かになっているような気がします。

学習意欲も高まっていて、今はアロマテラピーについて勉強中。香りで癒やしを得るだけでなく、もう少しホームメディカル寄りの、植物療法に近いことを学んでいます。

――先ほど、気分が沈んだり寝付きが悪くなったりとお話がありましたが、気持ちを切り替えるために意識されていることはありますか?

リフレッシュできるという点で、アロマも一つの方法ですね。
あとは、なんとなく「やり過ごす」こと。無理に向き合わないで、楽しいことを考えるのが今はいいのかなと思っています。「若い頃とは違う自分の姿を受け入れなければ」と深刻になるのではなく、軽く受け流しちゃう。

だって、しわが増えて肌が衰えるのは年齢を重ねれば自然なこと。私は「今年は美白の鬼になる!」と目標を立てて、それまでサボりがちだったパックや普段のお手入れをきちんとやろうと決めました。そうやって楽しみつつ肩の力を抜いて「やり過ごす」のが今の自分にとってはベストなのかもしれません。

すてきな先輩の話に勇気をもらい『大人の女史会』スタート

――2019年秋に『大人の女史会』の活動をスタートされましたが、改めて創設のきっかけを教えてください。

野宮真貴さんのライブに行った帰りに、真貴さんと松本孝美さんとスタッフのみんなでごはんを食べたんです。真貴さんといえば、ハイヒールに赤いルージュ、いつでも美しくてとってもチャーミング。「本当にすてきですよね」って話していたら、「いや私、数カ月の間に何回も骨折しちゃって」と、ご自身が骨粗しょう症の一歩手前だったことを教えてくれて! 

真貴さん、孝美さん、私と、ちょうど5歳ずつ年齢が違うので、誰もが通る「更年期」を楽しく健康的に過ごせるように情報発信できたらいいよね…と、その場で発足が決まりました。

左から、野宮真貴さん、松本孝美さん、渡辺満里奈さん

真貴さんのようなかっこいい先輩がざっくばらんに経験を話してくれたことが、私自身とても励みになりました。なので、私も情報発信をすることで、更年期の渦中にいる方や更年期に対して不安に感じている方が、同じように勇気を持ってもらえたらいいな、と思っています。

――『大人の女史会』は『週刊文春WOMAN』での連載などさまざまな活動をされていますが、満里奈さん自身はどのような刺激をもらっていますか?

メンバーと会って話して大笑いすることがまずは本当に楽しいです。
どんな悩みも3人で笑い飛ばすとすっきりするし、話すことで自分自身の気持ちが整理できて、心がスッと軽く前向きな気持ちになれます。なんでも話せる相手がいることはありがたいですね。

活動を通して知ったこともたくさんあります!
女性ホルモンの分泌量の検査を受けたら、カラカラの砂漠状態だったという事実も(笑)。でもそれが分かれば、「そっか、口がパサつくのは更年期だからか。じゃあこういうふうにケアしよう」と対策や備えもできる。やはり知ることってすごく大事です。

「砂漠緑化計画」なんて呼んでいるのですが、枯渇した女性ホルモンは元には戻らないけど、いきいきとしている先輩たちの経験談から人生の面白さを知ることで、砂漠のオアシスのように「心の潤い」は取り戻せるんじゃないかな。

実は、産後に似たような気持ちになったことがありました。「こんなに大変で、生活が180度変わるなんて、誰も教えてくれなかった!」って…。
もちろん、私が情報をキャッチできていなかっただけかもしれませんが、当時はあまり目に触れる所に欲しい情報がなかったようにも思えるのです。

多くの人が経験するライフステージという点では更年期も同じ。知っているのと知らないのとでは同じ立場になった時の心の準備が違いますし、生活のクオリティーが変わるはず。

更年期世代の皆さんはもちろんですが、現時点では興味がない・関係ないという方にも、その時期を自分や身近な人が迎えた時に『大人の女史会』を思い出してもらえる―そんな存在になるのが理想です。

みんなで話し、知識を得ることが更年期を乗り越えるカギ

――更年期の話題というと一昔前はタブー視されているような側面もありました。活動について抵抗はありませんでしたか?

正直全く抵抗はありませんでした。誰もが通る道ですし、もちろん私も通る道。
だからこそ、私は先輩たちの話を聞きたいし、やみくもに不安になるなら「みんなで話して乗り越えようよ!」と言いたい。恥ずかしいという気持ちよりも、同世代の皆さんに対する連帯感の方が強いのかもしれません。

更年期というと「更年期障害」の話題が多いのですが、「思春期」のように人間誰しも「更年期」という時期があるということがもっと広まってほしいですね。

――改めて、誰もが通る道である「更年期」を乗り切るために、満里奈さんが大切だと思うことは何ですか?

月並みですが、適度な運動にバランスの良い食事で生活のベースを整えることが一つかなあ…。私は20年近く続けているピラティスの素晴らしさを最近改めて実感しているところで、一生続けられる運動だと感じています。それと、いざという時のためにかかりつけの婦人科医を探しておくと安心です。

あとは繰り返しにはなりますが、この時期を明るく乗り切るためにもやはり「知ること」と「話すこと」が重要だと思います。一人で抱え込んでしまうのがきっと一番つらいので…。
話す相手は気の置けない友人でも、難しいかもしれないですが配偶者やお子さんでも。
私たち『大人の女史会』では閉経やフェムテックなどさまざまなトピックを発信しているので、それが会話の糸口になったらうれしいです。

「苦しんでいるのはあなた一人じゃない。だから、一緒に話そうよ」。

更年期についてそんなふうにおしゃべりすることが、当たり前な世の中になるといいですよね。