「一面の花畑を取り戻したい」
―南房総市の人々の熱い願いが奇跡の出会いを呼びました。

公開 2023/05/08(最終更新 2023/06/20)

優
「ちいき新聞」で記事を書かせて頂ける幸運にとても感謝しています。取材で訪れた街でのカフェ巡りは私にとって楽しい至福の時間。プロフィールの写真は「南房総に咲く幸せを呼ぶ花」カレンデュラです。取材で一番好きな花に出会えたこと‥うれしいです。すべての記事に「ありがとう」の気持ちを込めて!
記事一覧へ台風被害に負けず花畑を取り戻したい
2019年9月、南房総に大きな被害をもたらした台風。
その翌年に塩害の地で見事に咲くカレンデュラを見て「ひょっとしたらこれはすごい花かもしれない」と千葉工業大学准教授の南澤麿優覽(まゆみ)さんは直感しました。

高齢化と後継者問題に悩んでいた南房総市。
地域活性化の取り組みの中、生産量日本一のカレンデュラの新たな需要を広げようと、南澤さんにカレンデュラの成分について科学的分析の依頼をした時の出来事でした。
2022年、南澤さんは学術交流先であるオークランド植物園の優れた土壌で、品種改良されたカレンデュラはうまく育たない、という結論を見いだしました。
そんなカレンデュラにとって南房総こそが最適な土地、そしてこのカレンデュラはここだからこそ生き続ける貴重な種だったのです。
日本古来の柚子の種からアルツハイマー病の予防薬成分を公開した南澤さんは、その土地で長く繁栄してきた植物は薬になる驚くべき能力を持つことを知っています。

カレンデュラは日本では仏花として知られていますが、海外では民間薬や化粧品、ハーブティーとして使われています。
エイジングケアなどへの可能性を秘めているカレンデュラ研究を続けている南澤さん。
その分析結果は来年世界中に公表されることになっています。
カレンデュラがつなぐみんなの夢
南房総市には、カレンデュラの原産地キルギス共和国に住んだあと日本に帰国、南房総市に定住した夫妻がいます。
夫妻はカレンデュラ農家を営み、せっけんやスキンケア製品の販売をするなど、カレンデュラの魅力を広める活動をしています。

南房総市の人々とキルギスから帰国した夫妻との出会い、千葉を襲った台風、南澤さんへの分析依頼、オークランド植物園との学術交流、そして南澤研究室の学生たち。
「南房総市はカレンデュラが選んだ土地。これらの出会いもカレンデュラが連れてきてくれました」そう信じているという南澤さん。

みんなの夢を一緒につなぐ南房総市「カレンデュラの物語」は未来に向かって続いています。
※問い合わせ
メールアドレス/minamisawa.mayumi@it-chiba.ac.jp 南澤