訪れた国や地域90以上、海外への旅は216回。
旅行作家の秋山秀一さんが、自身で撮影した写真とともに、世界の街を歩いた思い出をつづります。

公開 2023/07/22(最終更新 2023/07/16)

海洋王国イギリスの面影を残す街
東経・西経0度、地球を東半球と西半球に分ける子午線が通るグリニッジ。
この地名からグリニッジ天文台やグリニッジ標準時を連想する人は多いだろう。

グリニッジは、大航海時代から19世紀末まで、海洋王国イギリスの水上交通の表玄関だった。
現在、海に関する資料が展示されている国立海事博物館や旧王立海事大学など、海洋王国だったことを実感させる歴史的建造物が残っている。
係留された帆船は、19世紀後半にインドや中国からイギリスへ紅茶を運搬した貨物船、カティー・サーク号。
同名のウイスキーのラベルにも描かれている、あの帆船だ。

グリニッジ天文台は観光スポットに

グリニッジ公園の丘の上に建つグリニッジ天文台まで、広い芝生に沿った道を歩いていく。
天文台の屋根に赤い球が一つ。
いったん上昇し午後1時にストンと落ちて時を知らせる「時の球」である。
グリニッジ天文台は天文台としての役割を終え、現在博物館になっている。
世界の標準時を示す時計の前や、天文台を取り囲む塀に描かれた経度ゼロを表す線の前で、記念写真を撮ろうとする観光客が引きも切らない。

展望台からの眺め、これは必見である。

最後は旧市街のローカルな店で、ボリュームたっぷりのビーフやチキンを味わいながら一杯。
うまい。
帰りは定期船の最終便に乗ってロンドンに戻る。

船から眺める日没時の風景、夜景。
これが、いい。(文・写真/秋山秀一)
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