小山高史さんは日本皐月協会主催で行われた「さつきフェスティバル」で、22年に内閣総理大臣賞、23年は小輪の部で最優秀賞を受賞しました。
公開 2023/06/29(最終更新 2024/02/29)

思い出深い盆栽との出会い

父親の影響で幼い頃から盆栽に触れることが多かった小山さん。
まずは松から少しずつ触れるようになり、弟に誘われサツキを見に行ったところ衝撃が走りました。
1本の木からたくさんの花が咲いているサツキを見て直感的に「これだ」と感じたのです。
ここから小山さんのサツキへの情熱が一気に高まりました。
当時は仕事も忙しく、帰宅時間は午後10時を過ぎることも。
それでも帰ってきてからサツキを剪定することが小山さんの日課でした。
「この時間があったから、一日の疲れもその日のうちに取れました」と小山さん。
趣味も仕事も「三現主義」を大切に
仕事をしている頃から、忙しい時間を縫ってサツキが置いてあるお店を回っていました。
それは常にどんな木が良いのかを確認をするため。
勉強熱心な小山さんは、退職後に改めて先生に付いてもらい、それまで独学だった針金の使い方や剪定の技術などの基礎を学びました。
「盆栽はバランス感覚が大切。自然にできた木々を人の手でつくる、まさに立体的な絵画のようなもの」と語ります。
これから盆栽を始める人や興味のある人に向けて、小山さんは「三現主義が大事」だと話します。
「現場で現物を現実的に認識せよ」、どんなことでもまずは現場で現物を確認し、やり方を学ぶのです。

小山さんの自宅には、約50年もの間大切にされてきた盆栽がいくつもあります。
一部枯れてしまった物も小山さんの手にかかればよみがえります。
現在も盆栽を照らす明かりがたくさん備えられた小さな作業場で、サツキの剪定をする1時間が小山さんの癒やしとなっています。 (取材・執筆/おーた)