我孫子市100人カイギ
会場の写真は全てFILMS.inc(岡部俊雪)

全国各地で開催されているプロジェクト「100人カイギ」。我孫子市でも今年からスタートし、市内に在住、在勤、活動している人たちがゲストとして登壇しています。毎回、市民活動、文化芸術、暮らし、教育、趣味など多彩なトークが繰り広げられ、ゲストと参加者の交流も楽しめると大好評! 主催者の一人である中澤洋一さんに、開催への想いや今後の見どころなどについて伺いました。

公開 2023/06/30(最終更新 2023/12/26)

野中真規子

野中真規子

フリーライター歴20年。取手市出身。2021春に東京から我孫子市に移住し、手賀沼周辺の水辺や豊かな緑、遺跡、史跡、ユニークな個人商店などに囲まれた生活を満喫中。スパイスと魚影、日本語ROCK、RAP、民族的デザイン、音楽、祭り好き。https://makikononaka.com/

記事一覧へ

「笑顔あふれる街にしたい」。我孫子の魅力発掘・発信に情熱を注ぐ

「100人カイギ」は2016年に東京都港区で始まったプロジェクト。「毎回、身近で面白い活動をしている5名のゲストが登壇し、参加者がその話を聞く」「ゲストが100名に達したら解散する」をルールに、地域の人と人とがゆるやかにつながり、街のあり方や価値の再発見を目的とするコミュニティです。

中澤洋一さん
中澤洋一さん

市内で開催されている「我孫子市100人カイギ」は2023年2月にスタート。主催するキュレーターの一人であり発起人の中澤さんは、我孫子駅前にある総合不動産会社、晃南土地株式会社の代表取締役。小学生から高校生まで3人のお子さんのお父さんでもあります。20年以上我孫子に住み、働く中で、自然の豊かさや文化歴史遺産が大切に残されつつ、独自の進化を遂げるこの街に居心地の良さとポテンシャルを感じてきたそうです。

「これまでも『我孫子を笑顔あふれる街にしたい』という想いから、土地建物の紹介だけでなく、地域の学生らと共に手賀沼公園で国際交流イベントを開催したり、地域の面白い人や活動を紹介するWEBサイト『Abiko A-Life』を運営したりなど、我孫子の潜在的魅力の発掘や発信に取り組んできました。モットーは『私たちにしか出来ない街創りを』。言葉では抽象的なので、将来のビジョンを下のようなイラストでも表現し、自分の肩書も『まちづくりプロデューサー』とさせていただいています」

ISNA DESIGN 我孫子 街創り
illustration by ISNA DESIGN, courtesy of KOUNANTOTI CO., LTD.

「まちづくり」に想いがある人がつながるコミュニティを作りたかった

我孫子は市民活動グループが多く、他にもボランティア、仕事などさまざまな活動を通して地域のために尽力している人がたくさんいます。中澤さんは「そうした活動を広く知ってもらいたい」「知らなかった人とつながりたい」「人と人同士もつなげたい」と思い、我孫子でも「100人カイギ」を開催することに決めました。

「きっかけは、隣市で開催されていた『柏市100人カイギ』に参加したことです。柏市長を含む各ゲストが自分の属性や肩書を取っ払い、地域への想いを熱く語る姿に胸が熱くなったんですね。その場で主催者の方に『我孫子でもやります!』と宣言したことを覚えています(笑)。ちょうどコロナも明けたタイミングで、今こそリアルなコミュニティの場が必要だとも感じていたんです」

ともに「我孫子市100人カイギ」を運営するキュレーターとして集まったのは、「まちづくり」に志を持つ5人。我孫子市商工会青年部の仲間である阿部文晴さんや、我孫子市内でエステサロンを経営する布田あゆみさん、千葉県議会議員の水野ゆうきさん、我孫子市PTA連絡協議会会長の寺内大輔さんが、それぞれ違った視点で、「我孫子好き」かつ面白いと思うゲストに声をかけていくことにしたそうです。

我孫子市100人カイギ キュレーター
左から、布田さん、阿部さん、中澤さん
我孫子市100人カイギ キュレーター
左から、中澤さん、寺内さん、水野さん

アーティストにスポーツ関係者、弁護士…多彩なゲストが登壇

「我孫子市100人カイギ」はこれまでに5回開催され、地元のアーティストや文化人、スポーツ実業団スタッフ、ミュージシャン、市民活動代表、弁護士、サークル会長、教育ボランティア代表など……さまざまな人が登壇しています。

第1回の前は不安も大きかったという中澤さんですが、ゲストや参加者の方々の温かい拍手や歓声を聞いて、その気持ちもすっかり吹き飛んだとか。

「毎回、ゲストが登壇する前にアイスブレイクを設けていることもあり、全員が打ち解けた状態で楽しく進行できています。ゲストのトーク中に、参加者との話が盛り上がって、いつの間にかトークセッションのようになったことも(笑)。新しい活動を広く知ってもらいたいという思いから、登壇経験のない方にも積極的にお声がけしていますが、『初めて人前で話をするので心配でしたが、ほんとによかったです』と言ってもらえたり、参加者からも登壇を希望するお声がけをいただけたり。思いを伝えたいけど発信する機会がなかった人に、この場がマッチしてうれしく感じています」

5月のカイギも、カレー、防災、デザイン、文化遺産のトークで大盛り上がり!

ライターは、5月に開催された「我孫子市100人カイギ」の第4回に参加してみました。会場に入ると、スタジオのようにおしゃれな空間でびっくり。中澤さんによれば、「リラックスして会話が楽しめ、忘れられない時間を過ごせるように」という思いで古いビルをリノベしたのだそうです。

カイギについての説明を受けた後、知らない人同士3〜4人で話をするアイスブレイクタイムが2回。みんな我孫子に関わる人たちなので、安心しながら地域の話や仕事の話をし、打ち解けられました。

我孫子市100人カイギ

そしていよいよゲストのトークがスタート。最初はDJ・カレー探検家で市内小学校のPTA会長さんでもある方のお話です。世界各地のカレーの知識が深まるとともに、我孫子の平和、ひいては世界平和にも思いが巡るという驚きの体験をしました。

我孫子市100人カイギ

グラフィック・ジュエリーデザイナー、彫金作家の方による、デザインを通した活動・ビジネスのお話からは、その情熱と向上心に刺激を受け。「まちづくりびと」として PTA、子ども食堂フードバンク、防災など市民活動をする方による地域防災の話からは、普段から地域の人とつながっておくことの大切さを改めて気づかせてもらいました。

我孫子市100人カイギ

最後は白樺文学館の学芸員さんと、我孫子に住んでいた作家・志賀直哉のお孫さんによる我孫子の文化遺産「我孫子白樺派」の話。我孫子の文化歴史を楽しく学べ、ここに住む誇りがさらに高まりました。

トーク終了後の交流会ではさらにたくさんの方々とお話や名刺交換もできて、充実した時間を過ごせました。全体を通して「近所にこんな活動があったんだ!」「こんなに面白い人たちがいたんだ!」という宝物発見の連続、という印象。いやー楽しかったです!

我孫子市100人カイギ

「100人カイギ」はスタート。ここでの出会いを地域活性につなげてほしい

7月29日(土)に予定されている第6回には我孫子市長の星野順一郎さんや、セブン銀行特別顧問、東洋大学理事長の安斎隆さん、手賀沼周辺の魅力を伝える団体・ヌマべクラブの一員で東京大学大学院の松戸香奈枝さん、中央学院高校野球部を甲子園に導いたこともある監督の相馬幸樹さん、NECグリーンロケッツの現役選手で前年度キャプテンの瀧澤直さんが登壇予定です。

「それぞれが我孫子を元気にしたいという思いのある方々。肩書きや属性を取っ払った、個人としてのお話が聞ける貴重な機会なので、ぜひ注目していただきたいです」

我孫子市100人カイギ

「我孫子市100人カイギ」は2024年10月にはゲストが100人に達し、終了する予定。中澤さんは、この場はあくまでも新しいつながりのきっかけであり、ここから新しいムーブメントが生まれてほしいと言います。

「終了時には、ゲストと参加者が累計500人くらいになる見込みです。最終回は手賀沼公園を貸し切って、みんなで新しいスタートを切る意味を込めたイベントがしたいと勝手に想像しています(笑)。ここでの出会いが我孫子の新しい魅力発見や課題解決につながればうれしいですね。企業や行政、社会人や学生、といった垣根なく、新しいプロジェクトも生まれてほしい。異なる視点や経験、知識をもつたくさんの方に関わっていただくほどに、新しいアイデアや視点がまちづくりにもたらされ、我孫子はより魅力的に進化していくと思います。今後も我孫子愛のある方の登壇やご参加をお待ちしています!」

我孫子市100人カイギ 
https://100ninkaigi.com/area/abiko
住所/ 千葉県我孫子市本町2-3-21 kounan.bldg2F
日時/(第6回) 2023年7月29日(土)/19時~21時
料金/入場券 1000円(学生500円) 入場券+懇親会 3500円(学生3000円)
駐車場/近隣にコインパーキングあり
アクセス/JR我孫子駅より徒歩1分
問い合わせ/上記URLに近日UP予定(Vol.6「More Info」→「主催者へ連絡」でお申し込み)