9月1日は防災の日です。
災害時の情報源に欠かせないラジオですが、普段から聞きなれていることで、非常時に「安心」を得ることができます。その中でも今回は「コミュニティFM」に注目。基本情報から災害時の役割について話を聞きました。
お話を聞いたのは…
https://www.892fm.com/
公開 2023/08/23(最終更新 2023/08/22)

コミュニティFMとは
コミュニティFMとは、FM放送の周波数を用いて、市区町村単位の狭い地域に向けて情報を発信する地域密着メディアです。1992年の放送法改正によりコミュニティ放送制度が施行され、全国各地にコミュニティ放送局が誕生。現在47都道府県に330以上の放送局があります。
全国規模で聞くことができるAM放送、都道府県単位のFM放送と比べて、市区町村単位の狭いエリアが対象になので、その主な役割として、ローカルで身近な情報を提供すること、それによって地域の活性化に貢献すること、そして防災・災害時に役に立つことが求められています。
災害発生時におけるコミュニティFMの役割
放送エリアが狭い、そしてその地域をよく知るからこそ「○○地区で停電発生」「○○川が氾濫危険水位に」「〇〇小学校に避難所が開設されました」など、地域の人々の命を守るために大切な情報をピンポイントで届けることがコミュニティFMの役割です。
コミュニティFMが世間に知られるようになったきっかけは、1995年に発生した阪神・淡路大震災です。この時、神戸市長田区のコミュニティFMが、長田区に多く暮らしている外国人住民のために、災害情報を多言語で放送しました。災害発生時にその地域に本当に必要とされる情報、命を守る情報を届けられる地域密着メディアの存在と役割が認知され、その後、全国でコミュニティFM局が数多く誕生することになったのです。
また、2011年の東日本大震災の時には、電力が必要なインターネットは寸断されてしまいましたが、電波で飛ばすラジオが人々に安心を届けたことで、ラジオやコミュニティFMの役割が再認識されました。
実は私は2011年よりも前にインターネット放送局開設の準備を進めていました。しかしこの3・11の経験から「ネットを介したサービスでは人の命は守れない」と思い知らされ、ラジオ(コミュニティFM)の開局に転換しました。
私たちコミュニティFMの使命・目的は「人の命を守ること」です。
そのために、万が一の時にも「電波を途切れさせない」ことが重要です。その時に聞いてもらえなければ意味がないからです。
SKYWAVEという名前には、「電波は空でつながっている、だから届けられる」という思いを込めました。

「人の命を守る」コミュニティFM
SKYWAVE FMは千葉市、四街道市、佐倉市とも防災協定を結んでいます。災害発生時には千葉市の緊急情報の割り込み放送に対応しています。いま全国にコミュニティFM局は330以上ありますが、割り込み放送に対応しているのは、まだ数えるほど。関東では、かつしかFM(東京都葛飾区)とSKYWAVE FMくらいです。
行政とだけではなく、民間同士でも防災協定を結んで、地域で「人の命を守る体制」を強固に築いていかなければと考えています。
SKYWAVE FMは、今年6月からインフォメーションマガジン(フリーペーパー)「SKYWAVE PLUS」を毎月発行して、京成電鉄の62駅に設置を始めました。災害時には駅に人がたまるもの。将来、京成電鉄さんと防災協定を結べるように、駅や電車利用者に日ごろから地元のコミュニティFMの存在を認知してもらえればと。防災ニュースコーナーもありますので、駅で見かけたら一度手に取ってみてください。
コミュニティFMの最大出力は20Wに決められています。比較すると、千葉の県域放送のbayFMは5kWです。なので、お住まいの地域の放送であればFMラジオで周波数を合わせれば聞けますが、電波の発信基地が低い位置にあって、間に高層ビルが立っているとか障害物があると、うまく聞くことができない場合もあります。
「聞いてもらえること」を第一に考えて、SKYWAVE FMは地上140mの高さから電波を飛ばしているので、半径80km圏内で高いところでならキャッチできます。筑波山や羽田空港、遠く碓氷峠(群馬・長野)でも確認できています。
関東で、同じように高いところから電波を飛ばせているのは、かずさエフエムさんと、市川うららFMさんです。例えば南海トラフ地震が起こった場合、千葉、東京、神奈川の東京湾岸エリアをカバーできるコミュニティFM局は、今現在この3局だけです。
「もしも」の時に役に立つためには「いつも」楽しく聞いてもらうこと
ところで、皆さんはご自分のお住まいの地域、または勤務地の市町村、そして実家や親せきが暮らす地方にコミュニティFMがあるかどうか、普段はどんな放送をしているかご存じでしょうか。日常生活で一度も聞いたことがない、周波数をどこに合わせたらいいかも分からない、そんな状況では災害時に思い出せるわけもありませんよね。
災害時に思い出してもらうために、そしてスムーズに聞いてもらうためには、その前に「私の地域にはコミュニティFMがある」と認知されることが第一です。
SKYWAVE FMは地元の映画館・京成ローザ(イースト)にサテライトスタジオを設け、公開放送を行っています。イベントの収録車もラッピングでアピール。名前を知ってもらうこと、存在を知ってもらうことを意識しています。
そして何より、日ごろから皆さんが聞きたくなるような番組を届けることが大切です。
SKYWAVE FMの目的は「人の命を守ること」、だから番組のターゲットは「人」です。
老若男女が楽しめるように、アイドルや声優、俳優、タレントなどがパーソナリティーを務めるバラエティー豊かなプログラムを用意しています。

地域密着情報も盛りだくさんです!
先日は千葉県内に拠点を持つアメリカンフットボールチーム、「ブルーサンダーズ」(市川市)ゼネラルマネージャーの富田基樹さんと「ゼロファイターズ」(千葉市・袖ケ浦市)代表の伊是名隼人さんとの対談を実現しました。
また、同じ地域密着メディアの「ちいき新聞」ともコラボレーション!
月曜~金曜の午前11時~午後1時にオンエアの「SKYWAVE LUNCH」内で、その週に発行された「ちいき新聞」の紙面を紹介しています。
そしてSKYWAVE FMだけでなく、全国各地のコミュニティFMはインターネットのサイマルラジオで聞くことができます。親戚が暮らす町や、訪れたことのある思い出の地方の放送などなど、一度聞いてみるといいと思います。
先ほど南海トラフ地震に触れましたが、例えば富士山が大噴火したら、関東一帯の電気が2カ月止まると言われています。しかし、噴煙が立ち込めていてもラジオの電波は届きます。
私たちも市民の皆さんも行政も、あらゆる災害をもっとリアルにイメージして、命を守るために必要な情報を必要な人に届けることの大切さ、そのためにどの手段が有効かを考えることが重要です。
コミュニティFMは最も有効な手段の一つです。その役割の重要性を地域みんなで理解して、地域で支えていけるといいですね。