「回想法」の研究と実践を約40年間続けてきた高齢者福祉のスペシャリスト中山敏子さん(八千代市在住)。
中山さんは世代を超えて多くの人に回想法の楽しさを伝えたいと言います。
公開 2023/08/02(最終更新 2023/08/02)

優
「ちいき新聞」で記事を書かせて頂ける幸運にとても感謝しています。取材で訪れた街でのカフェ巡りは私にとって楽しい至福の時間。プロフィールの写真は「南房総に咲く幸せを呼ぶ花」カレンデュラです。取材で一番好きな花に出会えたこと‥うれしいです。すべての記事に「ありがとう」の気持ちを込めて!
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これまでの人生を振り返り、過去の記憶や思い出を語り、そして、相手のこれまでを聴き、受け取っていく心理療法。
回想法の効果
「懐かしさ」は、幸福な心地よい気持ちになり、幸せホルモン(ドーパミン、セロトニン、オキシトシン)を表出させ、脳を元気にし、前に進む力を引き出すということがわかってきた。
(国立生理学研究所 研究結果)
「懐かしい」がキーワード

中央区月島に生まれ育った社会福祉士・介護福祉士の中山敏子さん。
子どもの頃、日に何回か開く勝鬨橋(かちどきばし)から落ちてくる小石を逃げて遊んだことや、忙しい母に代わって世話をしてくれた祖父がおさげを編んでくれたことなどを今でも懐かしく思い出します。
こんなふうに昔を振り返ることで感じられる「懐かしさ」が幸せホルモンを分泌。
脳を元気にして前に進む力を引き出すことが証明され、認知症の進行を予防することや、うつ状態を改善することも期待されるようになりました。
昔は否定的に捉えられていた「高齢者の過去への回想」に対して、1963年、アメリカの精神科医ロバート・バトラーは「思い出を語る中に高齢者の生きる力を引き出すポジティブな意味がある」ことに基づく心理療法を提唱。
バトラーから教えを受け、日本に回想法を最初に伝えた野村豊子さんから学んだ中山さんは本の出版や講演を通して回想法を広めてきました。
思い出を語り合って人との交流を楽しむ
「人は過去を振り返り自分のストーリーを語ることで自尊感情が高まる」という回想法の実践では、グループや個人でテーマについて、また懐かしい物や写真、歌などを使って思い出を語り合います。

ある講座の中で「小学校時代の先生の話」を語り合っていた時、一人の高齢の男性が「国民学校で先生に習った歌を歌ってもいいですか?」と立ち上がり、歌い出しました。
普段は寡黙なその男性。
心を開いて歌ったということに他の参加者からは温かい拍手が起こり、「回想法」の力を実感したそうです。
「人に尽くしてください」という母の言葉と共に生きてきた中山さん。
ケアした相手から教えられ力をもらい、「人はケアし合っている」ということを常に感じてきたと言います。
今後は共通の話題で世代間交流も図れる、地域活動としての回想法を広めていきたい、中山さんはそう考えています。
問い合わせ
メールアドレス/t-naka@cilas.net 中山
\回想法について詳しくはこちらから/
https://www.my-kaigo.com/pub/carers/otasuke/kaisoho/