関東鉄道常総線「南守谷駅」線路脇、全長100mほどの細長い花壇は、近くに住む山下登最子(ともこ)さんが一人で造成し、手入れを続けています。
四季折々の花が咲く、癒やしの散歩道です。
公開 2023/08/03(最終更新 2023/08/01)

きれいな場所にごみを捨てる人はいない
17年ほど前、この空き地はごみや犬のふん、自転車などが放置されていました。
見かねた山下さんは関東鉄道の許可をもらい、花壇造りを始めました。

草花を育てるのが大好きで、西取手駅でも花壇造りの経験がある山下さん。
ごみの片付け、土壌改良から始めて、1年後には2坪ほどの花壇に花が咲き誇りました。
すると、残された空き地の汚れが気になり、どんどん細長い花壇を延ばしていったのです。
守谷駅管区の宮本駅長は「山下さんは待合室にも花を飾ったり、ごみを片付けたりしてくれる。きれいな環境を作ってくれるのは無人駅の防犯にも役立っている」と感謝しています。
当初は、花を根ごと引き抜いていく人、実った果実を持っていく人もいたとか。
「果実は皆さんに分けているけど、黙ってたくさん持って行かれると寂しい」と山下さん。
関東鉄道の呼び掛けで今ではなくなったそうです。

花を育てられる喜び「私こそありがとう」
山下さんの草花の育て方は徹底していて、「素人は手が出せない」と宮本駅長。
除草剤や化学肥料は使わず、人にも優しい水と資材で育てています。

年間を通して絶えることのない草花たちは愛情をいっぱい受けて育っているのです。
アンズ、リンゴ、イチジクも花や実をつけるようになりました。
駅の意見箱には山下さんへの感謝のメッセージが寄せられ、草取り剪定をしている山下さんに声をかける人も増えました。
「私こそ、自由に花を育てられることに感謝しているのよ」と山下さんの明るい笑顔。
山下さんは、創立100周年を迎えた関東鉄道へのお礼を込めて、改札口横に七夕飾りを立てて、人々が短冊に願い事を書けるスペースも設けました。

最近は「自分ができなくなった時、他の人に苦労を掛けたくない」と、手入れの労力が少なくて済む宿根草を中心にした花壇造りを始めた山下さんですが、まだまだ元気な姿を見せてほしいですね。
(取材・執筆/房)
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関東鉄道(株)守谷駅