絵が飛び出てくる、登場人物が動く…。
一度は手にしたことがある人も多いでしょう「しかけ絵本」。
その歴史や種類を紹介する展示会が市川市文学ミュージアムで開催中です。
公開 2023/08/15(最終更新 2023/08/08)

しかけの始まりは意外なところから
子ども向けと思われるしかけ絵本ですが、しかけが登場したのは1200年代のヨーロッパ。
医学や天文学などの研究書に、知識を分かりやすく解説するためにしかけを施したのが始まりといわれています。
その後の1600年代に、挿絵を折り込んだために偶然しかけになった文学書が登場しますが、しかけ絵本が盛んになるのは、1700年代後半〜1800年代にかけて。
上流階級の子どもたちの間で流行したドールハウスを絵本に取り入れたり、絵本やおもちゃの出版社が次々創業されるなど、作家たちの工夫とともに、多くのしかけ絵本が刊行されるようになります。

しかけの種類と精巧な細工の数々

ひと口に「しかけ絵本」といっても種類はさまざまです。
本展では、「飛び出す絵本」といわれるポップアップ式や、つまみを引っ張ると絵が動くプルタブ式などの代表的なものから、音が出るもの、劇場型、展開型など10種類のしかけが紹介されています。
日本の浮世絵師による「おもちゃ絵」なども展示されていますが、精巧な細工に驚くでしょう。
さまざまな昔のしかけ絵本がきれいな状態で見られるのも貴重です。
絵本や童話に触れて魅力を知ってほしい
最近昔話や童話を知らない子どもが増えているのでは、と言う本展担当の学芸員は「『赤ずきん』など世界中で愛されているお話のしかけ絵本を紹介したり、実際に絵本を手に取って読めるコーナー、童話の一場面を再現したフォトスポットなども用意したので、親子で楽しんでほしい」と言います。
何度もページを開きたくなる、ついつまみを引っ張りたくなるなど、しかけ絵本には子どもを飽きさせない工夫がたくさんあるので、本に親しむ良いきっかけになるに違いありません。
大人も精巧なペーパーエンジニアリング(紙工作)の世界を堪能できることでしょう。(取材・執筆/松)
※展示作品43点は武蔵野美術大学美術館・図書館所蔵
会期/9月3日(日)まで(月曜休館)
場所/市川市文学ミュージアム 企画展示室
住所/千葉県市川市鬼高1-1-4 生涯学習センター2階
料金/一般500円、他
電話番号/047-320-3334 市川市文学ミュージアム
ホームページ/https://www.city.ichikawa.lg.jp/cul06/litera.html