1958年3月、国道14号沿い、市川市平田1丁目の工事現場で、地下4mの所から体長約12~15mほどの1頭分のコククジラの化石が発見されました。
昔、この一帯は海辺だったそうです。
公開 2023/08/21(最終更新 2023/08/08)

地下4mにコククジラの化石が
コククジラはクジラの中でも小さい種類のもので、児鯨(こくじら)、稚児鯨(ちごくじら)とも呼ばれていました。
「子どものクジラ」と勘違いされないようコククジラといわれるようになったとのこと。
コククジラは浅い海の底にすむ小さな生物を口先で掘り起こし、海水と一緒に飲み込んで食べていたため、下顎が発達していました。
市川の個体は、北太平洋西岸を回遊するコククジラが東京湾内に入り込み、陸地に乗り上げてしまったと考えられます。
化石は5000年前の縄文時代のものとされ、雌雄は不明。
縄文人はこうしたクジラを食べ、骨を生活に利用したことでしょう。
考古博物館に展示された化石
発見後は市川市教育委員会に搬入され、その後、葛飾八幡宮参道脇にあった中央公民館の軒下、旧市民会館舞台下、個人宅倉庫へと保管場所は移転。
1972年、市立市川考古博物館の開館に合わせ、1階ロビーに骨格を復元して展示されました。
今も同館の入り口に展示されています。

化石の発見から65年、その事実は人々の記憶から薄れつつあります。
今から5000年も前に市川駅付近をクジラが泳いでいた姿を思うと、壮大なロマンを感じずにはいられません。(取材・執筆/日々)
市立市川考古博物館
住所/千葉県市川市堀之内2‐26‐1
開館時間/午前9時~午後4時30分
※月曜、年末年始は休館。月曜祝日の場合、火曜休館
入館料/無料
問い合わせ
電話番号/047-373-2202